高圧合成法を用いて、今まで誰も手にしたことのない新物質を作る
物質を設計して、合成して、評価して
私の博士研究は、当時発見されたばかりの高温超伝導体でした。研究キャリアを積むうちに、興味は、複合金属酸化物で特異な性質を有する物質、例えば、磁性体、熱電変換材料や半導体、誘電体などに広がっていきました。
私がやりたいことは、今まで誰も手にしたことのない新物質を作ることです。そのために、数万気圧という非常に高い圧力をかけながら加熱する高圧合成法を用いています。
元素周期表を眺めながら、狙いの機能を出すにはどの組み合わせがいいか。物質を設計して、合成して、評価して、という作業を繰り返します。その結果、新物質ができた時の喜びはひとしおです。
感度の高いサーミスタを開発
さて、現在取り組んでいる「高圧合成法を用いた高エントロピー化による金属酸化物サーミスタの材料開発」は、フランス人研究者仲間が、高エントロピー化合物を紹介してくれたことから始まりました。
高エントロピー材料はもともと合金から始まりましたが、現在、多くのセラミックス材料で今までにはない特異な機能を発現しています。私が着目したのは、スピネル型構造を持つNTCサーミスタ(温度が高くなると抵抗が下がりその割合で温度を知ることができる)です。多くの家電やPCに搭載されていて、温度が高くなりすぎないように作動しています。
従来、用いられているものはNiMn2O4という物質が基本になっていますが、我々のこのNiサイトにMg,Co,Znなどの金属を等量ずつ混合しました。その結果、通常より高い300-400℃でも感度の高いサーミスタを開発することができました。
「高圧合成法を用いた高エントロピー化による金属酸化物サーミスタの材料開発」
◆ 「新しい強誘電体の開発に向けて〜高圧合成とマテリアルズ・インフォマティクスの協同〜」
◆ Creating new materials that no one has ever touched using high-pressure synthesis (本ページの英語バージョン)
◆主な業種
(1) セラミックス、ガラス、炭素
(2) 半導体・電子部品・デバイス
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 品質管理・評価
◆学んだことはどう生きる?
学部、修士の研究テーマは、セラミックス固相反応合成とその機能特性の研究が多いです。そのままのテーマで働く人は多くないですが、材料の基礎と研究を習得した学生に対する企業の採用意欲は大変高いです。研究開発、品質管理などグローバル企業からニッチエクセレントな会社まで、本人が「これがやりたい」を選んだ企業におおむね就職しています。
私が所属している先進国際課程(一般的には学科に相当)は、英語で授業を行い、学部1年生からテーマを決めて研究を始めます。従来の大学の「基礎科目だからとりあえず勉強する」のではなく、各自の興味や研究を進めるために必要だと認識して勉強するという点が新しいです。
しかし、授業は全部英語はハードルが高いので、日本語で基礎を学んで、3年生の研究開始から、先進国際課程の先生のもので卒業研究をすることもできます。工学部では9あるどの課程で入学してもその後、別の課程での勉強もできる点は、私の大学が取り組んでいる新しい取り組みです。
自宅や学校で使われている様々な温度計の仕組みについて考えてみましょう。目的により、測定原理も材質も値段も異なります。家電にも多くの温度センサーが組み込まれているので、どこでどのように検知しているかも調べてみましょう。
100円ショップに行って、いろいろな温度計を買って、危なくない範囲で分解してみることも原理を知るきっかけになります。
| Q1.感動した/印象に残っている映画は? 『惑星ソラリス』、『昔々、アナトリアで』、『バベットの晩餐会』 |
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| Q2.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 家庭菜園。採れたてを食べるのは格別です。 |
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| Q3.好きな言葉は? 本当に大切なことは目には見えない。(サン=テグジュペリ『星の王子さま』) |

