かつて中東は日本から本当に遠いところでした。砂漠、ラクダ、石油、戦争といった紋切り型のイメージばかりが先行していましたが、今では、中東行きの航空便も格段に増え、インターネットやテレビで中東の事物を見聞きすることは容易になっています。しかしだからといって、私たちが中東を正しく理解しているかどうか。たくさんの情報があっても、そこで何が起こっているのか、なぜ起こっているのか、理解することはなかなか難しいです。そこで、物事を考えるための枠組み、つまり、学問の出番です。
「知る」と「理解する」
なぜ紛争や独裁が終わらないのか。国際政治学や比較政治学といった学問が培ってきた理論や知見を用いながら、中東で「何が」起こっているのかについて「知る」だけでなく、「なぜ」それが起こったのかを「理解」することに取り組んでいます。
そんなとき、いつも考えていることは、中東という「異文化」にしっかりと向き合うことの重要性です。そこで起こっていることが、中東に特殊なものなのか、世界の他の地域にも共通する普遍的なものなのか。それを考えるためには、従来の理論や知見を用いるだけでなく、それまで私たちが当たり前だと思っていた価値観や常識を問い直すことも大事です。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→メーカー、金融、保険、エネルギー関連企業、プラント建設、エアライン、公務員、NGOなど
- ●主な職種は→営業、海外営業、国際化担当など
- ●業務の特徴は→海外勤務、新興国関連など
分野はどう活かされる?
中東に関する知識や政治学の考え方だけではなく、外国語によるコミュニケーションの力を活かした業務に携わっています。石油産業、ジャーナリズム、新興国のインフラの整備や開発援助に関わる業務、国際NGOなど。海外勤務も少なくありません。
勉強をするということは、勉強をしなかったときの自分とは異なる自分になることです。そのときには、不可避的に過去の自分の一部を捨てることになります。そして、その中には、自分がそれまで大事だと思ってきたこと、当たり前だと思ってきたことも含まれるでしょう。それを恐れないこと、いや、楽しむことが、大学での学びをいっそう充実したものに変えてくれます。
立命館大学国際関係学部は、理論・言語・地域を3つの柱とする教育を行っています。世の中にはいくつも「国際系」の学部がありますが、中には外国語学部のようなものも少なくありません。国際関係学部は、留学生も多いですし、英語による授業だけで卒業できる学科も設けていますが、単に外国語を習得することを目指しているわけではありません。大事なのは、その習得した英語で何を発信できるか、つまり、コンテンツです。
そのコンテンツを育てるための教育を担うのが、3つの柱のうちの理論と地域です。理論とは、例えば、政治学という学問の考え方を身につけること、他方、地域とは、中東をはじめとした世界の様々な国や社会の実態に迫ることです。