アフリカについては、偏見や誤解がとてもたくさん広まっています。確かに、アフリカは貧困、紛争、難民、環境等の多くの課題を抱えていますが、私たちはアフリカについてよく知らないので、こうした問題についても、思い込みに基づいて判断してしまいがちです。そこで、地域研究では、実際に現地に出かけてフィールドワーク(現地調査)を行い、アフリカの現地の人々の目線からものごとを考えることを大切にしています。意外な発見に満ち、わくわくしますよ。それと同時に、困難に立ち向かう実践的な力が養えます。
アフリカ紛争に対する間違った先入観はかえって問題を悪化させる
私は、東アフリカ遊牧民の紛争と国内避難民について、フィールドワークに基づいて研究しています。紛争は多くの死者が発生し、多大な被害をもたらしたにもかかわらず、ほとんど何も知られていません。私が報告することで、少しでも現状を知ってもらうことが社会を変えることです。
フィールドワーク調査の結果、私たちが抱いていたアフリカの紛争についての先入観の多くが間違っていたことがわかりました。実はアフリカの人々自身も平和構築を試みているのです。
紛争防止にせよ、平和構築にせよ、難民に対する人道支援にせよ、間違った思い込みに基づいて支援を行うと、問題の解決に繋がらないどころか、かえって問題を悪化させてしまう。地域の実情に即した解決策を探り、現地の視点から世界を変えていくことが必要です。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→国際協力コンサルティング会社、商社、製造業、マスコミ、公務員など
- ●主な職種は→コンサルティング、営業、事務、ジャーナリストなど
分野はどう活かされる?
アフリカで国内避難民の支援活動をして、卒業論文で東日本大震災の調査をした学生は、国際協力コンサルティング会社に。卒論でアフリカのレアメタル紛争を扱った学生は、レアメタルを扱う総合商社へ。修士論文でアフリカの難民を扱った大学院生は、高校の国際交流のアドバイザーに活躍しています。
静岡県立大学国際関係学部は、地域研究の中でも、国際関係論と関係の深い地域研究を特色としています。国際機関などでの実務経験をお持ちの研究者もいます。また、フィールドワークの実習授業もあり、学生は体験することができます。ゼミでは、様々なプロジェクトが活発に行われており、学生と教員が一緒になって地域の問題に取り組んでいます。これまでにもアフリカの難民支援や貧困削減、静岡の中山間地振興などの問題に取り組んできました。
静岡県立大学ではオンライン連続講義企画「コロナ後のSDGs的世界」を始めました。https://www.u-shizuoka-ken.ac.jp/guide/feature/sdgs/online/
興味がわいたら~先生おすすめ本
シノドス「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」
様々なカテゴリについて専門家が解説しているニュースサイト「シノドス」でアフリカについて発信。静岡県立大学の湖中真哉先生が編集長を務めるコーナーだ。アフリカの最新の情報や等身大の日常について解説している。
(「等身大のアフリカ/最前線のアフリカ」編集委員会湖中真哉:編集長)