スポーツ科学

「動く」身体のメカニズムを科学的に解明し、ハイパフォーマンスとハイアクティブを実現する


伊坂忠夫 先生

立命館大学 スポーツ健康科学部 スポーツ健康科学科 スポーツ科学コース/スポーツ健康科学研究科 スポーツ健康科学専攻

どんなことを研究していますか?

スポーツ科学という分野は非常に広範囲です。私が対象にしているのは、スポーツ動作を含めて人間の動作を対象にして、そのメカニズムを明らかにすることです。メカニズムが明らかになることで、スポーツパフォーマンス(競技成績)を改善するために、どの点をさらに改善・強化すればよいのか、そのために必要な機器・機材の開発につなげることもできます。

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スポーツ動作としては、短距離、長距離、野球、ゴルフなどの動作解析とMRI(生体内の情報を画像化する核磁気共鳴法)を使った形態測定を行っており、動作の特徴と長年のトレーニングによる筋肉の発達部位との関係を分析しています。

また、人の動きのメカニズムがわかれば、アクティブに過ごすために、どのような活動、トレーニングを積むと良いのかを知ることができます。人生、100年時代をアクティブに過ごす知恵を得ることができるようになります。いつまでもハイアクティブに過ごすための研究は他大学も含めて多くの研究者と共同で進めています。(参照HP:http://www.activeforall.jp/)

今までにないトレーニング負荷を与える装置の開発

また、従来のトレーニング器具(ダンベル、バーベル、チューブなど)では実現できなかったトレーニング負荷を発生させる装置を開発しています。この装置は今までにない新しいトレーニング負荷(刺激)を与えるだけでなく、どの筋肉がどの程度、筋力発揮をしているのかをコンピュータシミュレーションによって計算することができます。つまり、アスリートが力を発揮する特徴を、筋肉レベルで解析し、どこの筋肉を強化すればより大きな関節力を生み出すのかを解析し、トレーニングさせることができます。

このような研究は、スポーツ選手のみでなく、一般の人々の機能改善にも活用できます。発育発達中のこども、筋力低下をきたした高齢者にとって、具体的にどのようにトレーニングすることが、動くという機能を維持・向上できるかを解明することにもつながります。アクティブに動ける身体を維持・向上させることは、すべての人々にとっての願いであり、我々の研究はそのサポートにつながります。

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パフォーマンス測定室で、高速度カメラを用いて野球の動作解析のための撮影をしています

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→民間企業、大学などの研究機関、教育、公務員
  • ●主な職種は→総合職、研究職(大学院修了生)、教員(保健体育)など
分野はどう活かされる?

大学院進学者が、私の研究室で毎年3-5名います。研究科全体でも増えてきています。高度職業人に向けて学びを深め、先端の研究成果を生み出し、その成果が社会に実装されるための力もつけています。そのため研究職のみならず企業の開発研究分野、社会課題解決型の組織、起業など、キャリアの幅が広がっています。

先生から、ひとこと

人間は自分の身体から離れることはできません。その身体が「動く」ことへの興味を持ってもらい、より良く動くために、いつまでもハイアクティブに動くためのメカニズムを一緒に解明していきましょう。

先生の学部・学科はどんなとこ

スポーツ健康科学を中心に、理学、工学、保健衛生学、医学、体育学、教育学、経済学、経営学などの学問領域を含めて、総合的に学びます。

3・4年次では、将来の進路や関心に沿って、「スポーツ科学」「健康運動科学」「スポーツ教育学」「スポーツマネジメント」の4つのコースに分かれて学べます。また、4年間を通じた小集団演習によって、学生一人ひとりをきめ細かく指導します。

さらに外国語科目(必修)では「プロジェクト発信型英語プログラム」を実施、英語運用能力とコミュニケーション能力を高めることにも力を入れています。高い教育研究力のある教員集団、最先端の機器設備という教育環境の充実により、学生の研究力を高めています。

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コンピュータを用いて計算された動作解析の結果について、ゼミ生と議論しているところ

先生の研究に挑戦しよう

【テーマ例】
・興味のあるスポーツ動作を取り上げて、上手い選手とそうでない選手の動きの比較してみよう
・日常の動きを一つ取り上げて、筋肉がどのように活動しているのか観察してみよう
・今のあなたが3ヶ月間でより速く100mを走るための改善方法を3つ考えてみよう

興味がわいたら~先生おすすめ本

スポーツサイエンス入門

田口貞善、矢部京之助、伊坂忠夫:編

スポーツ科学に関心をもつ初学者・愛好家に最適な入門書。スポーツ競技における高度のパフォーマンスを実現して高めるための方法やメカニズムを、科学的に解明・追求しようとするスポーツ科学。スポーツパイオメカニクスの研究成果を含め、スポーツ科学全体が学べる本。読者が理解しやすいよう多数の図版を盛り込みながら、高度な話題までを具体的に噛み砕いて解説してくれる。 (丸善出版)


スポーツを仕事にする!

生島淳

スポーツを仕事にするということは、スポーツ選手になることとは限らない。スポーツに関わる仕事が非常に幅広いことを理解できるだろう。実際にトレーナーやメダリストの広報などとして働いている人へのインタビューなども掲載されており、イメージがわきやすいだろう。 (ちくまプリマ―新書)


スポーツアナトミー 人体解剖生理学

塩田清二、竹ノ谷文子:編

人の動きの解明には、骨格・関節・筋などの動くメカニズムの理解が不可欠だ。人の精妙な動きを可能にしている運動器について詳しく学べる本。解剖図と分かりやすい解説を見開きで掲載しており、読み進めやすい。解剖・生理学に関するコラムの掲載されている。 (丸善出版)


グローバル・アスレティックトレーナーがつくるスポーツの未来のかたち

立命館大学スポーツ健康科学部GATプログラム 編

物語で理解する「世界のスポーツ現場で活躍する」ための学び方!
日本のごく普通の高校生「タケシ」は、どのようにして夢をみつけ、その実現のために、GATプログラムを通じてどのような勉強や経験をし、世界で活躍するアスレティックトレーナーとなったのか。世界で活躍するアスレティックトレーナーになるまでの道のりを、小説スタイルでわかりやすく学ぶ。 (晃洋書房)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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