計算機システム

特定の機能を実現する組込みシステム、より小型化でさらに用途が拡大


田中和明 先生

九州工業大学 情報工学部 知的システム工学科 ロボティクスコース/情報工学府 情報創成工学専攻

どんなことを研究していますか?

皆さんの身の回りの機械や装置には、特定の機能を果たすコンピュータシステムが搭載されていますが、それを組込みシステムと言います。家の中で言えば、ほとんどの家電製品に組込みシステムが搭載されています。炊飯器では自動でご飯が炊けたり、エアコンであれば人を検知して温度調節してくれたりと大活躍です。組込みシステムは、家電製品にも、携帯電話、医療機器、自動車、IoTで用いるセンサなど、特別の制御を必要とする多くの製品にも用いられており、なくてはならないものです。

小型化・省電力化で広範なデータ収集が可能に

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私は、組込みシステムという学問分野で、とくに小型化、省電力技術を研究しています。この技術を活かすことで、これまでは費用や電力(バッテリー)の制限から実現できなかったような場所や用途でのデータ収集ができるようになります。例えば、小型の装置を設置するだけでその場所の温度や湿度を半永久的に計測できる環境センサを作ることができ、多くのセンサからのデータを処理することで、建物であれば内部の環境を快適に制御したり省エネを実現したりできます。農地や山林、河川などで、その状態を遠隔地から監視・管理できるようになり、作業が省力化でき、安全性も確保できます。農地であれば作物の生産性を高めることにもつながるでしょう。

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研空室で使っているロボット

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→電気系、IT系
  • ●主な職種は→研究開発,新規事業開発
  • ●業務の特徴は→これまでにないサービスなどを新しく提案し、その製品を開発する
分野はどう活かされる?

ハードウェアとソフトウェア両方に関係する研究をしたことから、その経験を活かした分野で活躍しています。また、研究分野であるIoTは、幅広い領域で要求される技術であり、仕事は電気系、IT系に限らず、重工業、自動車、医療などの幅広い産業分野にわたります。

先生から、ひとこと

計算機システム、特に私が研究している組込みシステムやIoTは、現在の社会を動かすシステムとして不可欠なものです。また、新しい技術が、近い将来に社会の中で利用される装置などの形で登場します。自分が関わった技術が、社会の中で有効に使われていることを体感できます。

先生の学部・学科はどんなとこ

本学科では、機械と情報を融合した分野について教育研究を行っています。機械を上手に制御するためのソフトウェアとして情報技術が必要で、両方の分野を学ぶことにより実社会で役立つ技術を身につけることができます。また、実践的な教育カリキュラムを取り入れており、小グループでのプロジェクト型学習や、コンピュータを使ったモノづくり(3Dプリンタを使うなど)を行っています。

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研究室の様子

先生の研究に挑戦しよう

簡単なセンサ(例えば温度センサ)を使って、そのセンサが取得した値をパソコンで読み取り、日中の温度変化をグラフ化するといったテーマが考えられます。センサ回路は中学・高校レベルの理科(物理)で理解でき、パソコンのデータ読み取りについても、最近は多くの資料が入手できます。また、Arduinoなどの手軽に扱えるハードウェアも利用できます。ハードウェアとソフトウェアの両方を経験することで、より深い知識を身につけることが期待できます。これらの開発の体験は、私が関わっている研究分野の入り口になります。

興味がわいたら~先生おすすめ本

Arduinoをはじめよう

Massimo Banzi、Michael Shiloh

手軽に入手できるArduinoという小型マイコンを使ってプログラムを作ってみよう。プログラムを作りながら、回路やセンサがどのような動きをするか、どうやってプログラムが動くのかなどを順序よく学習できる。この本のほかにArduinoマイコンを準備する必要があるが、Arduinoマイコン一つでいろいろな実験ができる。 (船田巧:訳/オライリー・ジャパン)


人工知能は私たちを滅ぼすのか 計算機が神になる100年の物語

児玉哲彦

計算機からAI(人工知能)に至る100年、そしてこれからの可能性について、未来から来た主人公が追う。ストーリー形式なので読み進めやすい。 (ダイヤモンド社)


プログラムはなぜ動くのか 知っておきたいプログラムの基礎知識

矢沢久雄

プログラムが動作する仕組みを解説。少々難しい部分もあるかも知れないが、丁寧な説明、多くの注釈に助けられる。コンピュータを使うだけの利用者から、プログラムを作る側になりたいならば役立つ内容だ。サンプル・プログラムは、プログラムの動きが見えやすいC言語に統一しわかりやすさを図っている。 (日経BP社)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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