皆さんの身の回りの機械や装置には、特定の機能を果たすコンピュータシステムが搭載されていますが、それを組込みシステムと言います。家の中で言えば、ほとんどの家電製品に組込みシステムが搭載されています。炊飯器では自動でご飯が炊けたり、エアコンであれば人を検知して温度調節してくれたりと大活躍です。組込みシステムは、家電製品にも、携帯電話、医療機器、自動車、IoTで用いるセンサなど、特別の制御を必要とする多くの製品にも用いられており、なくてはならないものです。
小型化・省電力化で広範なデータ収集が可能に
私は、組込みシステムという学問分野で、とくに小型化、省電力技術を研究しています。この技術を活かすことで、これまでは費用や電力(バッテリー)の制限から実現できなかったような場所や用途でのデータ収集ができるようになります。例えば、小型の装置を設置するだけでその場所の温度や湿度を半永久的に計測できる環境センサを作ることができ、多くのセンサからのデータを処理することで、建物であれば内部の環境を快適に制御したり省エネを実現したりできます。農地や山林、河川などで、その状態を遠隔地から監視・管理できるようになり、作業が省力化でき、安全性も確保できます。農地であれば作物の生産性を高めることにもつながるでしょう。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→電気系、IT系
- ●主な職種は→研究開発,新規事業開発
- ●業務の特徴は→これまでにないサービスなどを新しく提案し、その製品を開発する
分野はどう活かされる?
ハードウェアとソフトウェア両方に関係する研究をしたことから、その経験を活かした分野で活躍しています。また、研究分野であるIoTは、幅広い領域で要求される技術であり、仕事は電気系、IT系に限らず、重工業、自動車、医療などの幅広い産業分野にわたります。
計算機システム、特に私が研究している組込みシステムやIoTは、現在の社会を動かすシステムとして不可欠なものです。また、新しい技術が、近い将来に社会の中で利用される装置などの形で登場します。自分が関わった技術が、社会の中で有効に使われていることを体感できます。
本学科では、機械と情報を融合した分野について教育研究を行っています。機械を上手に制御するためのソフトウェアとして情報技術が必要で、両方の分野を学ぶことにより実社会で役立つ技術を身につけることができます。また、実践的な教育カリキュラムを取り入れており、小グループでのプロジェクト型学習や、コンピュータを使ったモノづくり(3Dプリンタを使うなど)を行っています。