DNAは遺伝子の本体であり、生命の設計図そのものです。2本のDNAのらせん状の構造が発見されて以来、最近では個々の遺伝子・タンパク質が個体の形成・多様性にどう役割を果たしているのか、明らかになりつつあります。
しかし、そこで得られている情報は多くの分子の平均的な挙動です。個々の分子の本当の挙動や反応の過程がどのようなものなのか、必ずしも明らかにはなっておらず、明らかにするためには、1分子のレベルでの観察・解析が必要です。こうした分子生物学という学問の現状を切り拓くべく、DNAの1分子の形や位置を観察し、一つ一つの分子の応答が解析できる技術の開発を行っています。
DNA分子の反応を高感度に観察する方法を開発
ただし、それには特有の難しさもあります。DNAのような長いひも状分子は、自然状態では自発的に凝縮してしまうのです。長い状態のままDNA分子上で生じている反応を可視化するためには、DNA分子の形態を制御することが必要です。そのために、マイクロ流路という、非常に小さな基板上に微細流路を集積した器具を用いました。
この微細流路の壁面にDNA分子が凝縮しないように片端を固定し、電界・磁界などでDNA分子の形態を制御しながら、生化学反応を高感度に観察する方法を開発しました。DNAの1分子観察は、これまで検出できなかった変化が検出できるようになるため、創薬・医療を含めた幅広い分野に影響を与えると考えています。
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「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→医薬・食品・設備
●主な職種は→開発・研究・施工管理
分野はどう活かされる?
高感度、1分子レベルで分子の振る舞いを観察する研究を行っていた学生が、製薬会社の研究所で研究に従事しています。