中学で習うものにイオン結合があります。正の電荷を持った陽イオンと、負の電荷を持った陰イオンからなる物質が「塩」です。代表的な塩は、食塩こと塩化ナトリウムです。食塩のような無機塩は通常は固体ですが、「塩」なのに常温で液体という不思議な性質を持ったものがあります。それを「イオン液体」と言います。最近、イオン液体は、様々な分野で、新材料として利用される可能性がひらけてきました。
木材チップからセルロースや糖など分離する
私は、そのイオン液体を用いた、新規で経済性のある化学物質の分離回収プロセスを作ることに取り組んでいます。イオン液体のメリットは、常温で液体であるがゆえに、例えば木材チップからセルロースや生体高分子である多糖などを非加熱で分離する化学反応場として利用できることです。このイオン液体を用い、生体材料の有機酸、脂肪族炭化水素のジオール、アミノ酸などバイオ産物の分離・精製を定量的に行うことができました。課題はイオン液体が高価なことですが、飛躍的にコスト削減できる方法を少しずつ考案しながら研究を続けています。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→化学メーカーを中心とする製造業
- ●主な職種は→生産技術職
- ●業務の特徴は→生産技術の開発、プラント設計など
分野はどう活かされる?
卒業生は物質生産過程に必須の化学工学的素養を身につけて、化粧品などから素材メーカーまで、幅広い業種で活躍しています。
創立者新島襄のいう「人間のための科学技術」の実現に、ともに努力しましょう。
私立大学である同志社大学では、自由で、かつ自立した研究環境を有しています。