土木計画学・交通工学

安全を高める自転車道路環境の設計研究!


山中英生 先生

徳島大学 理工学部 理工学科 社会基盤デザインコース/創成科学研究科 理工学専攻 社会基盤デザインコース

どんなことを研究していますか?

自転車は環境負荷が少なく、健康に優しく、エネルギーや資源にも経済的な交通システムとして、未来の都市を支えることが期待されます。しかし一方、最近、歩道での自転車と歩行者との接触事故、そしてまた車道を走る自転車と自動車の接触事故が増えています。特に交差点での車との事故は多く、自転車の事故の70%が交差点で発生しています。交差点での安全確保が大きな課題になっています。

自転車のドライブシミュレータを開発

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私は交通工学の観点から、歩行者や自転車の安全を高める道路づくりに取り組んでいます。具体的には、自動車と自転車が同一仮想空間を走行できるドライブシミュレータを開発し、交差点における自転車安全施策の評価を行いました。

また自転車の走るレーンの整備を提案しています。根本的な解決策として、まず歩道には遅い自転車だけ走行できるようにし、それとは別に速い自転車レーンを増やしていきます。最終的に自転車が快適に走行でき、車より遅い「中速地帯」として、段階的に整備するということが考えられます。

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自転車・自動車双方を同一空間上で同時に操作できる協調型DSを用いた実験。左下の写真が協調型DSの全体写真で、右の写真が自動車・自転車シミュレータの写真。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→行政、建設コンサルタント
  • ●主な職種は→土木技術者
  • ●業務の特徴は→自治体、国の公共的な投資、施策、事業を行っている
分野はどう活かされる?

コンサルタントや自治体や国の土木技術者として、道路や交通計画の設計、社会実験、普及活動などに携わっています。

先生の学部・学科はどんなとこ

徳島大学は、地方大学としては土木計画学・交通工学分野に属する研究者が多く、都市計画、交通計画、地域計画、国土システム、景観デザインなど多様な分野を網羅しています。 地域柄、巨大地震を想定した地域づくりや都市計画、人口減少社会における持続可能な地域づくりなどを特色としているほか、自転車を主体とした安全な道路環境づくりを研究している全国的な拠点でもあります。

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追い抜く自動車の速度と自動車との間隔を計測できるプローブバイシクルと山中先生

先生の研究に挑戦しよう

・自転車の交通安全を高める方法を考える(左側通行、ヘルメットキャンペーンなど)
・道での危険行動を行動分析学の視点から考える(なぜ人は危険な行動を起こすのか?)

興味がわいたら~先生おすすめ本

ようこそ ドボク学科へ! 都市・環境・デザイン・まちづくりと土木の学び方

佐々木葉:監修

土木工学の分野で取り組むまちづくり、計画、デザインの視点や、実際の仕事の内容が、74人の先輩たちからの助言や経験として、コラム形式で紹介されている。取り上げるテーマは、「未来につながる『計画』をイメージしよう」、「路線バスに乗って地域を知ろう」、「自転車で走ると見えてくる地域の個性」など身近に感じられるものが多い。 (真田純子、中村晋一郎、仲村成貴、福井恒明:編/学芸出版社)


まちづくりのための交通戦略

山中英生、小谷通泰、新田保次

環境に配慮した街、人が歩いて暮らせる街など、これからのまちづくりには、交通計画が重要だ。まちづくりと密接に連携した「交通戦略」を、フランス・ストラスブール、イギリスやドイツなど、都市交通の先進事例を交えて解説。 (学芸出版社)


自転車の安全鉄則

疋田智

自転車の人気がますます高まる今だからこそ、事故の起こるメカニズムを分析し、しっかりとした解決策を出していくことが大切だ。自転車にとって安全で快適な道路づくりも提案されている。 (朝日新書)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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