光の非常に面白いふるまいに、「近接場光」というものがあります。入射した光がすべてを反射する現象を、全反射といいます。光が全反射したとき、その背後ににじみ出るような特殊な光が近接場光です。この特殊な光は、ふつうの光と異なり非常に短い距離しか伝播しません。言い換えると、光は閉じ込められています。ところがある光学材料を用いると、近接場光は散乱し、ふたたび伝播光となります。それによって、光学顕微鏡では見られなかった波長以下の非常にサイズの小さな物体を観測することができるようになります。この近接場光を見えるようにする光学材料が、誘電体です。
これからの時代の花形となる光学材料
誘電体とは、電気を通さず、光を通す材料のことです。電気を通さないから絶縁体として利用されるほか、光学材料としても重要です。私は、これからの時代の花形となる新しい光学材料として、非常に小さなミクロの世界に閉じ込められた近接場光を用いたセンシング技術の開発をしています。具体的には、これを用い、ウイルスや血液型の検出に取り組んでいます。従来1時間かかっていた検査を、もっと迅速に行うことができるようになり、緊急性の高い手術や輸血の現場で役立てることができます。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→電機メーカー、電力会社、鉄道会社、総合研究所、証券会社
- ●主な職種は→企画、開発、研究
分野はどう活かされる?
例えば、大学・大学院での専門を活かして、研究所の研究者になった人もいます。また、専門を活かすと共に培った幅広い視点で、役所での専門官や、企業での開発に従事する人もいます。