パソコン本体と壁のコンセントの間は、ACアダプターというものでつながっています。送電されてくる電圧は交流で、パソコンは直流で動くため、交流から直流に変換しなければならないからです。ACアダプターはそのために必要です。携帯電話を充電するには、充電用のアダプターを持ち歩く必要があります。この場合、携帯電話と充電用バッテリーはどちらも直流ですが、動作可能な電圧が異なるために、2つの間に電力変換のアダプターが必要なのです。電力変換回路の小型軽量化・高効率化が進めば、スマートフォンに一体化することが可能となり、持ち歩く必要がなくなります。
電気エネルギー効率を考えるパワーエレクトロニクス研究
私はパワーエレクトロニクスを専門にしています。パワーエレクトロニクスとは、電気エネルギーを効率よく使うための技術です。日常で使われる携帯機器や家電製品から発電所などで用いられる大型の装置まで、多種多様な装置にパワーエレクトロニクス技術が応用されています。
その中で私たちは、ACアダプターなど様々な電力変換器の研究をしています。また電子回路の小型化・高効率化をテーマに、新しい回路や制御の提案を行っています。電気自動車やハイブリッド自動車なども、モーターやバッテリー、モーターを駆動する電気回路を軽量化することができれば、走行可能距離がより伸びることとなります。消費されるエネルギーを削減することにもなります。消費エネルギーをたった1%でも減らすことができれば、それは世界の省エネルギー化に大きく貢献することになります。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→重電、電機メーカ、自動車メーカ
- ●主な職種は→研究・開発職
- ●業務の特徴は→電力変換技術に関する技術開発、新製品の開発
分野はどう活かされる?
パワーエレクトロニクス技術は、電気エネルギーを消費している機器のほぼすべてで必要となる技術です。そのため、研究を通じて学んだ電力変換技術等を活かし、企業においても家電向け電力変換回路、ハイブリッド自動車向け電力変換回路、自然エネルギー発電向け電力変換回路、無停電電源装置などの開発に携わっています。
電気は目に見えませんが、パワーエレクトロニクスは電気を力に変えたり、光や熱に変換したりするために使われていて、みなさんの身近にある分野です。一緒に最先端の技術で世界を変えていきましょう。