環境動態解析

世界中で大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)を観測~地球環境変動の解明に取り組む


青木一真 先生

富山大学 理学部 自然環境科学科/理工学研究科 理工学専攻

どんなことを研究していますか?

近年の地球環境の変化は、地球温暖化問題や気象災害など、私たちの生活に影響を及ぼしています。その中で、大気中に浮遊する微粒子(エアロゾル)は、PM2.5などの人為起源と黄砂や火山灰などの自然起源の微粒子に分けられます。特に、PM2.5は、気候変動のみならず、健康への影響も心配されています。そこで、私たちは、その微粒子や微粒子が核となって形成する雲の気候影響について、世界中の大学や研究機関と一緒に調査し、地球環境変動の解明に取り組んでいます。

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実際には、太陽とその周辺(空)の光の強さをいろいろな波長で測定し、雲や微粒子の光学的特性を解析し、その時空間変動を調べています。地上観測は、極域から熱帯、船を使った海洋上や標高の高い山の上などで調査し、観測できない部分を含めた地球全体を宇宙から地球観測衛星(JAXAやNASA等)を利用して、地球環境の変化を監視し研究しています。

7mにおよぶ立山積雪調査から、太陽光観測による太陽光発電の研究まで

その他には、北陸の気候や富山の蜃気楼の観測、さらに、標高3千メートルの山々が連なる立山連峰で、約7mにも積もった雪の調査や、立山・浄土山にある富山大学の山小屋(標高2839m)での大気・雪氷観測を行い、地球環境の変化をいち早く知るための研究をしています。また、太陽光観測から得られたデータを用いて、太陽光発電などの再生可能エネルギーの研究にも取り組んでいます。

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標高2450mの立山室堂平の積雪調査における授業風景

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種は→気象・防災関係、公務員、教員、技術職など
  • ●主な職種は→国家公務員、地方公務員、教員、会社員など
分野はどう活かされる?

気象庁など、研究室で学んだことを活かせる業務についています。

先生から、ひとこと

理学部で学ぶサイエンスは、「なぜ」「なに」といった探究心が重要です。自然豊かな富山や立山で、一緒に地球環境を勉強し、研究しませんか。

先生の学部・学科はどんなとこ

富山大学理学部は、物理学、化学、生物学、地学、数学など、幅広くサイエンスを学ぶことができる学部です。特に、私の研究室では、大気物理学を中心に、山岳、雪氷、海洋、植生、再エネなど融合研究をしており、富山ならではの標高3千メートルの立山連峰から富山湾まで、自然を肌で感じられる地球環境研究を行っています。

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標高差3000mの富山大学立山施設(右下:立山・浄土山)から富山湾まで身近に学べる自然環境

先生の研究に挑戦しよう

今日の空は何色ですか?雲の形や雲の動きはどうですか?今日はどんな空なのか観察し、気象庁の観測データや天気図、ひまわりの雲の画像と比較してみましょう。

興味がわいたら~先生おすすめ本

異常気象と気候変動についてわかっていることいないこと

筆保弘徳ほか

地球環境は日々変化している。この本を通じて地球規模に視野を広げ、気象のしくみと最新の研究や今の地球の問題点について興味を持って欲しい。 (筆保弘徳、川瀬宏明、梶川義幸、高谷康太郎、堀正岳、竹村俊彦、竹下秀/ベレ出版)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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