「いじめのない学校」ではなく「いじめを見逃さない学校」「仕返しではなく仲直り」をめざし、いじめ理解や対策の国際的な共同研究を行なっています。世界中の研究者と共同研究をすることによって、国・地域によるいじめの傾向の違いや、どの国でも共通してみられる側面、各国の取り組みなどを知ることができます。
「仕返し」ではなく「修復」を
いじめなどの「仕返し」には、ある意味「公平」を求める考え方があります。しかし、子どもたちのなかに「仕返し」ではなく「修復的な対話」をし、「加害者が敵ではなく、いじめをなくす」という活動をしている子たちもいます。そういう子たちの志を活かす活動をしていきたいと思っています。
いじめ対策の研究を通じて、虐待や体罰も含め、逃げられない関係の中での攻撃の問題についての理解を深め、人間関係や社会のあり方を変えていく先生方や、子どもたちを支援しています。子どもたちが、未来を変えてくれると信じています。
一般的な傾向は?
- ●主な職種は→幼稚園・保育園・認定こども園の先生
- ●主な業種は→行政(市役所・厚生労働省)
分野はどう活かされる?
市役所や厚生労働省に就職した卒業生は、園の現場をわかって仕事をしてくれていると思います。大学教員になった卒業生もいます。
教育心理学の研究から言えることは、学びや仲間関係には、いろいろな要因が関わっているけれど、どれも「決定的ではない」ということです。人生に関わる心理学の研究成果の多くは、人生に関することわざや名言などと似たところがありますが、それも、絶対に正しいわけではありません。自分の人生に影響を与える様々な要因の渦の中にあっても、最後は、「自分のことは自分で決める」ということを大事にしたいと思います。
興味がわいたら~先生おすすめ本
TED「良識ある行動をとる動物たち」
各分野の専門家による非常に興味深いプレゼンテーション「TED」。中でも、このプレゼンテーションを紹介したいと思います。争いをいかに仲直りや協働に転換していくのかについて、動物学者が専門的な立場から語っています。
(フランス・ドゥ・ヴァール)