教育心理学

どうやって仕事での危機を乗り越えるか~「折れない心」を養う研究


児玉真樹子 先生

広島大学 教育学部 第一類(学校教育系) 初等教育教員養成コース/人間社会科学研究科 教育科学専攻 教師教育デザイン学プログラム

どんなことを研究していますか?

「就職活動が思うように進まない、就職してみたら想像と違っていた、職場環境の変化に心がついていかない」といったキャリア形成における危機に直面したときに、それを乗りこえる力を「キャリアレジリエンス」と言います。私は、この力には具体的にどのような要素があり、どう働いているのかということを研究しています。

「リアリティショック」は、問題解決力が高い人ほど回避しやすい

この力の中には、「問題対応力、ソーシャルスキル、新奇・多義性、未来志向、援助志向」の5つの要素があることが研究を通してわかってきました。また、「就職してみたものの想像していた世界と違っていた」という、いわゆる「リアリティショック」は、問題解決力が高い人ほど回避しやすいということも、20代の社会人への調査を通してわかってきました。

「危機を乗り越える力」といえば抽象的ですが、具体的な要素と働きを明らかにすることで、「折れない心」をどうやって養いキャリア形成に生かしていくのか、その糸口が見えてきます。

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な職種は→小学校教員     
分野はどう活かされる?

現在、学校現場で子どもたちに「社会に出て生きていく力」の育成をすることは重要な課題の一つです。

先生の学部・学科はどんなとこ

初等教育教員養成コースは、主に小学校の教員を養成するコースです。

興味がわいたら~先生おすすめ本

その幸運は偶然ではないんです! 夢の仕事をつかむ心の練習問題

J.D.クランボルツ、A.S.レヴィン

キャリア発達の研究の第一人者であるクランボルツ博士の著書。キャリア形成において、ハプニングやちょっとした偶然、転機などを生かして人生を変えた人たちのケースが紹介されている。海外の事例ではあるが、この本を通じて高校生のみなさんには自身のキャリア形成の視点を変えていただきたい。 (花田光世、大木紀子、宮地夕紀子:訳/ダイヤモンド社)


フリーター・ニートにさせないキャリア教育の授業

鳥居徹也

なぜ働かなければならないのかという、生徒からの問いにどう答えるのがいいのか。小学校から高校でキャリア教育に関する講演をされている著者の講演内容をまとめた本。ご本人の講演を聞く機会がなかった方にお勧めしたい。 (学陽書房)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。