企業のグローバル化が進行しています。製造業が、海外に工場を作って海外で製品を生産し、その製品を日本市場に輸入して販売する。あるいは海外で作って海外で販売することもあります。一方これと類似した動きは、実は小売業でも活発化しつつあります。ユニクロはほとんど中国で生産して、世界で販売しています。
私が研究しているテーマは、この「小売グローバル化」です。日本の小売企業は欧米の小売企業と比較すると、グローバル化に大きく遅れています。今や小売企業は、日本市場で競争することよりもグローバル市場で競争に勝つことが求められており、そのための研究が急務になっています。
欧米の先端的小売企業が優位とは限らない
例えばスウェーデンの小売企業・IKEAのように、従来の小売国際化の中心は、欧米先進国市場の先端的小売企業でした。しかし近年、先進国市場以外の国の小売企業が、国内から国外へ進出し、国際化し始めています。従来海外小売企業に「進出される一方」であった国の企業の国際化行動を「逆進出」と捉え、事例を収集し検証する実証研究を行いました。その結果、欧米の先端的小売企業と新興国小売企業との競争作用の結果として、新興国側が競争に打ち勝ち、優位を獲得する可能性があることを明らかにしました。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→特定の業種に集中していない
- ●主な職種は→営業部門や製品開発部門
- ●業務の特徴は→自社製品を取引相手に売り込む、取引相手と一緒に製品を開発する
分野はどう活かされる?
中国やUAEに駐在をして海外市場を開拓する、食品メーカーに勤めてコンビニエンスストア向け商品を共同開発するなど。
流通論やマーケティング論は、身の回りに見られる様々な現象と直接関わっています。街歩きしながら、人間観察しながら感じた「これって何?」「どうしてこんなことが?」と思ったら、それが研究テーマになります。
流通科学大学は1988年創立の若い大学ですが、日本で初めて流通・マーケティング研究を中心とする大学として開学しました。その特色を今も保持しています。両分野を研究する所属研究者の数は、日本有数であり、かつそれら研究者の両分野への配置バランスが良く、さらに研究者の年齢構成も重鎮から若手まで偏りがありません。 また日本における小売国際化研究の中心研究機関であるほか、インターネットを使ったマーケティングの研究者や物流を専門とする研究者など、時代にマッチした先端研究に取り組む研究者が多いことが特徴的です。
興味がわいたら~先生おすすめ本
家電の神様
江上剛
あなたは家電製品を購入する際、どこで購入しますか。多くの人が、家電量販店あるいはネットと答えるでしょう。なぜでしょう。たくさんの製品が店頭に並べられているので、どの製品が良いかを店頭で比較することができるし、値引きも大きいし、ネットだと家にいながら注文もできるから便利だというのが、その理由でしょう。しかし、家電量販店やネットが登場する以前に消費者が家電製品を購入していた店は、街の電気屋さんでした。街の電気屋さんは、いま家電量販店やネットとの競争にさらされて苦戦中です。ではどうしたら生き残れるのか、それをリアルに描いているのがこの小説です。意外な戦略が展開されます。そして現実にその戦略を採用している街の電気屋さんが復活しています。 (講談社文庫)
ガイヤの夜明け
毎週、流通・マーケティング、ビジネスに関連した内容を中心に、テーマを変えて放送している番組。経済を動かしている現場とその裏側を、鋭く取材し紹介しています。この番組に興味を覚える人は、商学や流通に関心を持っていると言えるでしょう。
(テレビ東京)
HPへ
カンブリア宮殿
毎週、企業の経営者を招き、革新的な取り組みや地道な企業努力について取材します。ビジネスを成功に導く経営者たちの金言とアイデア、推進力を目の当たりにできます。
(テレビ東京)