ロケットマン
イギリスのミュージシャン、エルトン・ジョンの半生を描いた映画作品です。幼い頃のジョンは私たちと同じで、悲しいときはお母さんに抱きしめられたかったし、頑張ったときはお父さんに認めてもらいたかった。だけど、お母さんはジョンを愛するよりも、他の男性に愛されたいし、お父さんはジョンと遊ぶより、仕事を通じて職場で認められたくて、家ではジョンはいつも独りぼっち。
音楽を通じて、やがてジョンは世界中の人が称賛するミュージシャンになれたけれど、心の中ではいつも独りぼっち。やがて彼は、その孤独を癒すためにお酒やドラッグに溺れて自暴自棄になっていく。
嗜癖行動は、お酒が止められなくなったり、違法薬物を摂取して快感を得たりする行動のことですが、嗜癖行動から抜け出せなくなって生活している人の多くは、ジョンのように幼少期の外傷体験(トラウマ)に原因があるということがわかってきています。どうしたらそのような幼少時代のトラウマを癒すことができるのかについても、映画では紹介されています。
嗜癖行動はすべての人に関係する行動です。苦しい時や不安な時、その辛さや不安を解消するための行動です。つらい時、中にはジョンのように、音楽に酔いしれる人もいるでしょう。あるいは、ジョギングのような運動をして不安を解消する人もいます。
嗜癖行動はその人がその環境に適応して生き延びていくための知恵とも言えます。その人の嗜癖行動を善悪で判断するのではなく、その人の成育歴や家族関係、生活している社会環境に目を向けて、その人が取っている行動を嗜癖行動として捉え直すと、その人の生きづらさや苦悩がはっきりと見えてきます。
そうすれば、単純にその人の嗜癖行動(お酒やドラッグなど)を取り上げるのではなく、その人の苦痛をありのまま認めてあげること、その人のありのままを受け入れることが最大の支援になることに気づくことができるでしょう。
(デクスター・フレッチャー:監督)
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