歯周病と微生物、体と免疫の研究から、骨再生の研究へ
歯周病の影響をマウスで証明
私は歯学部を卒業し、大学病院での研修医を終えた後、研究の世界に入りました。最初に興味をもったのは、歯周病という口の中の病気です。歯周病は、はぐきと歯を支える骨の病気で、微生物が感染することによっておこります。
歯周病は歯が抜けてしまうだけではなく、全身へ影響することが知られています。大学院生の時に、ヒトの歯周病と似たモデルをマウスで作り出すことに成功し、マウスにおいて歯周病が心臓血管系に悪影響を及ぼすことを示し、テレビなどにも取り上げられました。
アメリカで原因菌を解析、治療法開発へ
そこから研究がさらに楽しくなり、今度は治療法開発をしたいと考え、アメリカに留学することにしました。実は歯周病の詳しい原因はよくわかっていませんでした。そこで歯周病の患者さんのはぐきからよく見つかるPgという菌について解析を行いました。
すると、本来、体を守るヒトの免疫を利用して、しぶとくはぐきの中に生き残りながら、はぐきに悪い炎症(腫れ)を作り出していることがわかりました。私たちは、Pgが免疫から逃げるメカニズムを解明し、ある薬でPgだけを殺すことに成功しました。マウスの実験から、サルの実験を経て10年かかり、いまはヒトに応用するための研究がアメリカで進んでいます。
歯周病で溶けた骨の再生を目指す
それから日本に戻ってきて、今度は溶けた骨を再生しようと研究を開始しました。骨を再生できる薬が必要な病気は多いのですが、有効なものは少ないのが現状です。アメリカ、ドイツの大学や日本の大学、研究機関と共同で、骨を作り出す薬を開発し、数年後にはヒトに応用できるのを夢見て頑張っています。
私の研究テーマは、大学院、留学時代、留学後で変化しています。テーマは一貫せずとも、全ての事柄はいくつかの点で繋がっているので、さまざまな領域に挑戦してみることは重要だと感じています。とくに現代では、他領域との交流が盛んに行われているため、人文系の研究者や工学系、薬学系の先生と共同で新しいことに挑戦しています。
◆主な業種
(1) 病院・医療
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 医師・歯科医師
(2) 大学等研究機関所属の教員・研究者
(3) 基礎・応用研究、先行開発
WHOなどの世界保健機関の歯科保健分野があります。また海外の大学との姉妹校提携が多いため、ダブルデグリープログラムなどユニークな認証制度があります。留学生が多いため、国際感覚が身につきます。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医療系 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 米国に住んでいたからこそ日本以外は考えられない |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? バレーボール部 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? ラーメン屋 |
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Q5.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 旅行、飛行機に乗る |