プラスチックに代わる材料へ!弾力性のある結晶合成に成功
有機化学を楽しむ
炭素と水素を主として酸素や窒素、硫黄、ハロゲンなど、様々な元素を組み合わせて描写すると無限とも言える有機化合物を手中にしたような気持ちになります。
フラスコを手に化合物を合成できるようになると、その姿を見るべく「単結晶構造解析」に挑み、分子の形を明らかにすることになります。有機化合物は構造の多様性があり、構造によって色々な機能が出るので、作ることが楽しみになります。
有機分子結晶の面白い機能
私たちは「分子を作る」、「結晶を作る」から面白い機能をもった有機分子結晶を作っています。結晶は分子の間に働く様々な相互作用で出来上がっていて、分子の並び方によって光り方や薬理活性が異なったりします。
また、押すとかのちょっとした刺激で壊れたりすることがある一方、温めたり光を当てると変形したりジャンプしたりするものもあります。
自分なりの魅力ある結晶へ
結晶って固くて脆い物質なんですが、これが柔らかくて堅牢だと面白い。こんな逆説的な視点で研究を考えると挑みがいのあるテーマになります。
私たちは分子を作り自分たちの思ったように並べることで、弾力性を示す結晶を作り出すことに成功しており、その作り方の詳細な仕組みを調べています。弾力性があることでちょっとやそっとでは壊れにくく、繊維のように扱える結晶として、プラスチックにとって代わる材料として期待されています。
「研究でメシが食いたい」と思っていたので、「大学までは化学ってなんだろう?」って漠然と考えていました。"わかることが面白い"ではなく"わからないことが面白い"がモットーで、最もよくわからないと思った有機結晶材料の研究に進むに至りました。
思った通り、"わからないこと"は"世間的には難題"であり、その難題に実験で答えるのが化学の醍醐味です。
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 食品・食料品・飲料品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
私どもの研究室は修士課程進学率・博士課程進学率共に高く、研究大好き学生が集まっている印象です。卒業・修了後は研究職に就いたりするケースが多いですが、酒好きの私の影響を受けてか酒造メーカーに就職した卒業生もいます。
何事も研究を通して突き詰める力をつけることで、将来的に力強く楽しく活躍できるものと信じています。
高知工科大学理工学群機能化学専攻は全国トップクラスの研究環境で、ここでやってやれない研究はなかなかありません。卒業研究論文は極めてハイレベルで、各先生のサポートは他の大学では味わえない熱量だと思います。
もちろん、生命や物理系の研究室もあり、学群ならでは環境を活かした研究のコラボレーションを体感することもできます。
カフェインの結晶化とかが面白いんじゃないでしょうか?
茶葉を加熱して昇華させて得るか、錠剤を買ってしまうか(笑)。そのカフェインを熱水で溶かして、放冷して結晶化させるとかですかね。
綺麗な結晶が得られたら、今度は重さを測って濃度ー温度の関係から相図を作ってみましょう。溶けた点と析出した点でプロットすると高度な物理化学の実験結果になります。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 化学。ただし既に一回やっているので物理が良いかも。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? オーストラリア。大自然が気持ち良いが近代的な国。 |
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Q3.一番聴いている音楽アーティストは? 最近は「にしな」さんが好きで、その中でも『東京マーブル』をループしてます。 |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? コーヒーとお酒です。人の叡智だと思います(笑) |