最も遠い銀河の観測に成功!アルマ望遠鏡で捉える酸素の光
遠くの光を見ることは過去の宇宙を見ること
現在の宇宙は、ビッグバンによっておよそ138億年前に誕生したと考えられています。初代天体は、宇宙が誕生してからおよそ数億年の時代に形成していたと考えられています。
遠方すなわち過去の時代にあった銀河の観測をすることは、私たちの住む宇宙の歴史について、根源的な疑問に回答することに繋がるため重要です。光の速度は有限ですから、遠くの天体から放たれた光を見ることは、過去の宇宙を直接見ることに相当します。
人類の技術を集結した最新の望遠鏡によって、遠くの天体の微弱な光を検出することが可能になってきました。
電離酸素イオンの光で銀河を観測
2010年代半ば、どのようにして130億光年を越える超遠方銀河の観測をするかが重要な課題でした。
私たちの研究グループは、世界に先駆けて、電離酸素イオンの光を使い遠方銀河を観測をする手法を確立しました。南米チリに建設されたアルマ望遠鏡を使い、2016年、世界で初めて遠方の銀河から電離酸素イオンの光を検出することに成功しています。
さらに2018年、当時の最遠方となる銀河 (132.8億光年かなた) の天体を検出しています。これは、アルマ望遠鏡が初めて最遠方銀河の観測に成功した金字塔的な成果です。
NASAの新たな望遠鏡で徹底解明
これらの研究成果を含めて、電離酸素イオンの光を使うことで、効率的に遠方銀河最近の観測ができることを実証しました。
最近では、NASAが打ち上げたばかりのジェイムズ・ウェッブ宇宙望遠鏡も駆使することで、遠方銀河の詳しい性質を徹底的に理解しようと考えています。
◆主な業種
(1) コンサルタント・学術系研究所
(2) ソフトウエア、情報システム開発
(3) 大学・短大・高専等、教育機関・研究機関
◆主な職種
(1) 技術系企画・調査、コンサルタント
(2) システムエンジニア
(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者
◆学んだことはどう生きる?
研究ではプログラミングの能力が不可欠であるため、ソフトウェア、情報システム開発の分野へ就職する学生が多いです。また、研究は課題解決の側面があるため、最近ではコンサルタント業界へ進む人も一定数見られます。基礎研究を第一線で続ける人は、大学や教育・研究機関で研究を続けます。
筑波大学には、宇宙物理学または天文学を専門としている常勤教員が10名程度、在籍しています。これは国内の大学の中でも、とても大きな規模です。
教員の研究テーマは多岐に渡り、コンピュータシミュレーションを用いた銀河や星、ブラックホール、宇宙の大規模構造の研究(理論)、望遠鏡や装置の開発および性能評価(装置)、望遠鏡で取得したデータの解析 (観測)といったテーマが含まれます。学生は4年生から研究室配属され、上記のテーマなどから卒業研究を進めていくことができます。
私の所属している宇宙観測研究室では、2024年度からは南極大陸に自らが開発した望遠鏡を設置するプロジェクトも始まります。
具体的な本は挙げられませんが、ぜひ書店に立ち寄って、「これは興味が無いな」と思った本を購入してみてください。わたし自身、学生のころは定期的にそういった本を読むことをしていましたが、自身の価値観が広がったように思います。