天文学

ブラックホール

巨大ブラックホールを100個も発見!その誕生の解明へ


松岡良樹先生

愛媛大学 宇宙進化研究センター(理学部 理学科/理工学研究科 数理物質科学専攻)

世界を変える研究はこれ!

巨大ブラックホールを100個も発見!その誕生の解明へ

化け物級のブラックホールを探して

晴れた夜、街明かりを離れて空を見上げれば、無数の星や銀河が美しく輝いています。一方で宇宙は、目には見えない暗黒のエネルギーや物体に満ちています。

その1つがブラックホールです。中でも化け物級に大きく重い「巨大ブラックホール」がどのように誕生するのかに私は興味を持ち、ハワイ・マウナケア山頂に設置されたすばる望遠鏡などを使って、最遠宇宙での探索を行っています。

光の速さは有限なので、天文学では遠くを観測することで過去の宇宙の様子が調べられるのです。

一番遠い、つまり一番昔に存在した巨大ブラックホールを見つけて、誕生の経緯に迫ろうというわけです。

オーストラリアでは10年観測しても空振り

2000年頃に始めたこの研究は、順風満帆とは行きませんでした。最初はオーストラリアを拠点として、南東岸から400kmほど内陸の乾燥地帯に設置された小さな望遠鏡を使って、探索を開始しました。

しかしどれだけ観測し、データを分析しても、遠い巨大ブラックホールは見つかりません。延べ10年近くに渡って努力を続けましたが、結局失敗に終わりました。

探索を諦めず、すばる望遠鏡で発見に成功

しかし諦めず、その後すばる望遠鏡による新たな探索を始めました。失敗の経験を生かし、手法を根本から見直した結果、ついに2015年に初めての発見に成功します。

さらに探索を続け、これまでに計100個近くを発見することができました。今後はいよいよそれらの詳しい追観測によって、巨大ブラックホールが宇宙に現れた経緯を解き明かしたいと考えています。

すばる望遠鏡での観測風景。手前から松岡先生、観測装置スペシャリスト、望遠鏡オペレーター。
3名でチームを組み、夕方から明け方まで望遠鏡を操作しながら、遠い巨大ブラックホールを探します。
(写真提供:国立天文台)
きっかけ

◆テーマとこう出会った

この研究テーマはもともと、大学院での指導教員がリーダーとして取り組んでいたものです。私は学生・共同研究者として協力していました。しかし、その後オーストラリアでのプロジェクトが失敗・終了し、指導教員も定年退職間際で亡くなる一方、日本が持つすばる望遠鏡に強力な探査観測装置が搭載されるなど、様々な環境の変化がありました。

これらの経緯の中で、私が指導教員の遺志を継ぐ形で新たな国際共同チーム、新たな探査プロジェクトを立ち上げ、大きな成功につながったものです。

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