瀬戸内海島嶼の製塩遺跡を調査 海岸の利用史をひも解く
地域社会と歴史遺産の将来のために
今、私たちの目の前にある歴史遺産や遺跡は、見たままの通りなのでしょうか。教科書やガイドブックの説明だけのものなのでしょうか。もしかしたら、まだ知り得ていない歴史事実や、そこから説明できる歴史像があるのかもしれません。
そのためには、その歴史遺産や遺跡を継続して学術的に調査研究する必要があります。その方法には、考古学、民俗学、民具学、文化財学、文化財科学など様々な分野があります。また、近年は文化資源マネジメントと呼ばれる分野も出てきました。
これからの地域社会のために、文化資源や文化遺産の保存・活用が基盤となり支えるために何をすればいいのかを考えています。つまり、これらは地域社会と歴史遺産の将来のために、相互に補完しあう研究分野として存在しています。
製塩に適した海岸環境はどうできたか
私たち愛媛大学のチームでは、瀬戸内海の島嶼部にある古代・中世の製塩遺跡を調査しています。瀬戸内海は歴史的に製塩が盛んな地域ですが、なぜ盛んであったのかは従来、政治史的に解明されるのがほとんどで、地域の独自的な環境や歴史背景についてはまだまだ研究の余地がありそうです。
その中でも製塩に適した砂浜や浜堤のような海岸環境が、いついかに形成され人々がどのように利用したのかを考古学的に解明しようと試みています。このことは地域が独自に育んできた風土や文化性ともいうべきものを気づかせてくれるはずで、将来の地域社会づくりの基盤として役立つものになればと思っています。
「浜堤の考古学-瀬戸内海島嶼部における海岸利用史の研究-」
菊地大樹
金沢大学 古代文明・文化資源学研究所
【アジア考古学】動物考古学から見た、馬と人間の関係を研究しています。中国全土の出土馬骨資料の丹念な分析に立脚した馬の人間の関係史は、新たな歴史像を提供しています。
村野正景
京都文化博物館/金沢大学 国際文化資源学研究センター
【文化財学・考古学】文化財・文化遺産と地域社会とのより良い関係を研究しています。地域に遺る、例えば学校に保管されている歴史・民俗資料を、高校生たちと一緒になって保存・活用する方法を探っています。
岡崎健治
鳥取大学 医学部 医学科
【アジア形質人類学】人骨から見た先史中国の社会研究をしています。新石器時代の遺跡から出土した人骨1000体以上を分析し、また最古の結核事例などを発見するなど、先史の具体的生活に迫っています。
社会共創学部文化資源マネジメントコースでの私のゼミ(文化遺産ゼミ)では、日本や世界の文化遺産に関わるニュースを日ごろから取りあげて、現在進行形でどのようなことが起こり、どのような問題や課題があるか、気を配るようにしています。
◆主な業種
(1) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
(2) マスコミ(放送、新聞、出版、広告)
(3) その他
◆主な職種
(1) 総務
(2) 事業推進・企画、経営企画
(3) 営業・営業企画、事業統括
◆学んだことはどう生きる?
地域の自治体、放送・新聞業界、銀行および各種サービス業で活躍しています。学部で学んだ地域文化の継承・活用の視点と方法を活かし、従来にない地域づくりや活性化の取り組みを行っています。
社会共創学部文化資源マネジメントコースでは、文化資源を活かした地域社会の持続的発展を研究しています。経済や政治に関わることだけでなく、文化資源、とりわけ文化遺産に焦点を当て、地域の歴史遺産・文化財やそれらを取り巻く地域の関係づくりについて考察しています。近年、地域貢献系の学部は多く新設されましたが、このような視点のものはまだ多くありません。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 同じ歴史学・考古学。 |
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Q2.大学時代の部活・サークルは? バイクでツーリングしながら、各地の遺跡などを見てまわりました。 |
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Q3.研究以外で楽しいことは? 例えば、中国などの各地の生活や風景を見て歩くこと。 |