川の流れ、人の流れを表現できる言語を数学で
空の色ならRGB値、川の流れは?
「目の前の川の流れを電話で伝えるにはどうすれば良いでしょうか」。この問いは、私の研究と深くつながっています。
類似の問題として「目の前の空の色を電話で伝えるには、どうすれば良いでしょうか」という問いには、RGBカラーモデル(Rはred[赤]、Gはgreen[緑]、Bはblue[青])を使って、赤と緑と青をどの割合で混ぜるのかを数値で表現し、うまく色を伝えることができます。
言い換えると、色をあいまいさなく表現するために適した言葉があるため、デジタルカメラなどで空の色はほぼ正確に再現できるのです。
したがって、もし川の流れをうまく表現する言語があれば、あいまいさがなく、流れを伝えることができます。
トポロジーの視点で流れを捉える
トポロジーという分野では、大らかな視点で、ベーグルとコーヒーカップを同じ形と考えます。
このような大らかな視点で流れを捉えることにより、複雑な流れの形をシンプルな情報と捉えて、数学的にあいまいさがなく、様々な流れを表現できる言語を構成することができました。
このような流れを表現する言語を用いて、これまでとは異なる観点から厳密な議論ができるようになりました。これまで、様々な分野の方と協働をして、今まで気がつかなかったメカニズムなどを見出し、現実問題の効率改善を行いました。
今後も、自然の中にある流れや、流れとみなせるもの(例えば、歩行者の移動)などを解析して、様々なメカニズムや発見を探していきたいと思います。
→先生のフィールド[数学協働]ではこんな研究テーマも動いている!証明の読み方・考え方 数学的思考過程への手引
ダニエル・ソロー、訳:安藤四郎(共立出版)
証明の考え方などを解説しており、「背理法はいつ使ったら良いか」などを説明できるようになるので、どんな人にもおすすめです。