気象や経済の突発的な現象を数学で理解し、予測する
キーワードは微分方程式やカオス、流体力学など様々
私が現在興味を持って取り組んでいる研究は、標語的に言えば「気象、経済等で突発的に発生する現象を数学の言葉で理解して、予測に繋げる」というものです。
この研究のキーワードとしては、微分方程式、力学系、カオス、同期、周期軌道、流体力学、数値解析、スーパーコンピュータ、機械学習などが挙げられます。
パン生地をこねる中にもカオスがある
私は、大学院に入った際に流体力学の乱流を研究したいと思っていました。しかし、乱流を私の期待していたレベルで数学的に理解することは非常に難しく、難しさの本質を共有するシンプル(とはいえ未解決問題)で、カオス的な性質を持つ数列、微分方程式(力学系)の研究に取り組むようになりました。
カオスとは、1週間程度より先の天気予報が当たらない原因でもあり、パンやうどんをこねて粉を効率的に混ぜるためのメカニズムでもあります。
カオス研究の生みの親とも共同研究
大学院では、カオスに内在する特殊な秩序である、周期的ふるまい(不安定周期軌道)の研究を行いました。そこで身につけた技術や知見を基に、研究を展開させて以来20年近く、力学系の周期軌道に関する研究を続けています。
カオス研究の生みの親ともいえるJames A.Yorke教授をはじめ、海外の共同研究者も増えてきました。
最初に述べた現在の研究課題はこれまでの研究の延長線上に位置するものですが、力学系の純粋数学研究でも盛んに研究されている話題とも密接に関連しつつ、近年発展が目覚ましい機械学習も活用する研究になっています。
→先生のフィールド[数学協働]ではこんな研究テーマも動いている!◆中高時代は
部活動で野球、テニスに没頭していたほか、冬休み、春休みにはスキーをしていました。おかげで、研究する上で最も大切な要素(の一つ)である基礎体力がついたと思います。高校生の時は、少し背伸びした数学と物理を勉強していました。力学、電気回路などの物理現象を、微分方程式を使って解析して楽しかったことが印象的です。
◆出身高校は?
浅野高校
篠原克寿
一橋大学 商学部 経営学科/経営管理研究科 経営管理専攻
【力学系の抽象数学理論、数理工学】力学系に関する純粋数学の理論構築を行っている一方で、深い純粋数学的知見を基に、数理工学研究に取り組んでいます。
金融、経済にまつわる数学、データ解析、機械学習に強みを持っています。
寺田寅彦随筆集
寺田寅彦(岩波文庫)
日常の身近な出来事を物理学、数学的解釈を交えながら紹介している随筆集です。身近なことを自分の頭を使って考える姿勢を身に付けるのに役立つと思いますし、研究テーマの種も見つかるかもしれません。
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ? 数学・数理科学、もしくはスポーツ医学・科学。 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? アメリカ、もしくはブラジル。いずれも自由な国であり、自身の研究分野のレベルが高いから。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 野球 |
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Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは? ビラ配り。別のところから10倍の給料でスカウトされるほどのテクニックがありました。 |
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Q5.研究以外で楽しいことは? テレマークスキー |
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