第1回 95%は水素、炭素、窒素、酸素。のこりはミネラル16種類
ミネラルって何でしょう。食品成分に興味のあるみなさんはご存知かもしれません。ミネラルとは、人の体の中では合成することができないために、必要量は少なくても、食物から摂取する必要のある元素のことです。
一般的に言って、ミネラルは、H(水素)、C(炭素)、 N(窒素)、O(酸素)を除いた元素を指します。私たちの体の栄養素として欠かせないミネラルは、次の16種あります。
Ca(カルシウム)、P(リン)、S(イオウ)、K(カリウム)、Na(ナトリウム)、Cl(塩素)、Mg(マグネシウム)、Fe(鉄)、Zn(亜鉛)、Cu(銅)、Mn(マンガン)、Co(コバルト)、Se(セレン)、Mo(モリブデン)、I(ヨウ素)、Cr(クロム)。
こういったミネラルにはカルシウムのように硬組織として体を作るものから、体の調子を整えるものまでいろんな働きがあります。体を整える補助剤として、今は様々なサプリメントが出ていますから、ご存知の方も多いでしょう。
ミネラルは私たちの体の中で、どれくらいの割合を占めるのでしょうか。わかりやすく示したものに、文部科学省の出している「一家に一枚周期表」に、「宇宙」「地殻」「人体」それぞれの構成要素について円グラフで示されています。元素一つひとつについてもわかりやすく紹介されているポスターで、見ているだけでも楽しいです。さて、人体を見てみますと、私たちの体の95%まで占めるのは、水素、炭素、窒素、酸素の4元素。残る5%ほどがミネラルということがわかります。
これを実際に体の作りから見ていきましょう。シマウマ(動物)を例に取ると、まず心臓や肝臓など複数の臓器器官からできています。その一個一個をもう少し細く見ていくと細胞組織が見えてきます。細胞の中のいろんな組織を細く見ていくと、多糖、タンパク質、核酸、脂肪など巨大分子に分類できます。そのそれぞれを構成ユニットに分けると、ブドウ糖、アミノ酸などになります。さらに細かく見ると、最後はH、C、N、Oなどの元素になります。
このような考察からでは、H、C、N、Oの重要性を再認識できますが、ミネラルの機能をみることはできません。では、これから、ミネラルの重要な働きについて、勉強していきましょう。
栄養素の通になる ―食品成分最新ガイド
上西一弘(女子栄養大学出版部)
カルシウム、ビタミンC、たんぱく質、コレステロール…。厚生労働省策定「日本人の食事摂取基準」でとりあげられている栄養素を、専門家による解説と、楽しく読みやすいネタ、楽しいイラストでガイド。体内での働きや吸収率、多く含む食品など、栄養士のみならず、一般の方にもわかりやすく、活用できる食品成分ハンドブック。
ミネラルの働きと人間の健康 ―糖尿病、認知症、骨粗しょう症を防ぐ
渡辺和彦(農山漁村文化協会)
作物や食べ物に含まれているケイ素、ホウ素、マグネシウム、カリウムなどミネラルが減ってきており、作物を不健康にしているだけでなく、糖尿病、痴呆症、骨祖しょう症、メタボなど生活習慣病の原因になっているという。ミネラル不足がいかに怖いかわかる。
トコトンやさしいミネラルの本
谷腰欣司(日刊工業新聞社)
イラストをふんだんに使い、化学式はできるだけ避け、また難解な用語には易しい説明を加え、一般の方々にもミネラルの性質を筆者流にわかりやく説明する。
身体に必要なミネラルの基礎知識 ―鉄・亜鉛・マンガン・モリブデン・バナジウムなど、病気の予防にもなり原因にもなる金属の話
野口哲典(サイエンス・アイ新書)
ミネラルが、健康維持や病気予防などにどれだけ重要な役割を担っているのかを解説。カルシウム、リン、ナトリウム、カリウム、鉄、亜鉛、銅、マンガン、ヨウ素、セレン、モリブデン、コバルトなどが身体にどんなに大事かがわかる。