第3回 地球内部に水は閉じ込められているのか ~マントルでの可能性を探る
地球形成初期に微惑星によって大量にもたらされた水は、現在はどうなっているのでしょうか。本当に水や水素は地球内部に閉じ込められているのでしょうか。
私は地球内部の研究を専門にしています。地球は玉ねぎのように層構造をしています(図1)。深さ6,400kmの最深部の内核は固体で、その周りを液体の外核が取り囲んでいます。深さ約2,900kmからマントルがあり、上部マントルと下部マントルに分かれています。マントルの最深部にはポストペロフスカイトという鉱物があって、これが非常に重要だとされています。というのも、マントルと金属の核の境界に存在しているからです。ポストペロフスカイトを発見したのが東京工業大学の私のラボです。「地球科学史における30年ぶりの新発見」として、世界中の研究者を驚かせました。
私は地球内部の研究を専門にしています。地球は玉ねぎのように層構造をしています(図1)。深さ6,400kmの最深部の内核は固体で、その周りを液体の外核が取り囲んでいます。深さ約2,900kmからマントルがあり、上部マントルと下部マントルに分かれています。マントルの最深部にはポストペロフスカイトという鉱物があって、これが非常に重要だとされています。というのも、マントルと金属の核の境界に存在しているからです。ポストペロフスカイトを発見したのが東京工業大学の私のラボです。「地球科学史における30年ぶりの新発見」として、世界中の研究者を驚かせました。
実は、地球深部の物質を採集できる場所があります。ダイヤモンド鉱山です。ダイヤモンドは炭素に5万気圧以上という高い圧力がかかったためにできた宝石です。5万気圧は地下約150kmの圧力に匹敵するため、ダイヤモンドが見つかる岩は、地下150km以上の場所でできた岩であると考えられます。
ペリドット(かんらん石)といわれるマントルの岩石は、マントル上部層を構成する石で非常に美しい緑に光る岩です。さらに深く潜っていくと、ペリドットは各層で違った鉱物に変化するので、緑から紫そして茶色へと変化します。マントルの内部に入っていくと、このように非常に美しい岩石があるはずですが、浅いところに上昇してくる途中でペリドットになってしまうので、地表ではほとんど見つかりません。
※かんらん石→weblio鉱物図鑑参照
ダイヤモンドがマントル中で成長するとき、周囲の鉱物を取り込むことがあります。そのようなダイヤモンドは宝石としては価値が低いのですが、われわれ地球科学者にとっては非常に貴重な試料なのです。深さ150km以上の地球内部の重要な情報を含んでいます。
520~660kmの深さのマントルの主要鉱物リングウッダイトが含まれるダイヤモンドが発見されました。ペリドットになってしまわずリングウッダイトのまま見つかったのは、地球の物質としては初めてでした(強い衝撃を受けた隕石中ではしばしば発見される)。とりわけ注目すべきは、このリングウッダイトに1重量パーセントの水が含まれていたことです。海は地球全体の重量の0.02%と言いましたが、割合からすれば、この鉱物の中にはそれを大きく上回る水が含まれていました。このことから、もしかしたらマントルには海の0.5~5倍に相当する水が存在しているかもしれないということがわかってきました。
※水を含むリングウッダイトが発見されたダイヤモンドについては下記の記事も参照
つづく
第4回 コアに含まれる軽い元素を突き止めろ!
<前回を読む>
第2回 水の起源 ~微惑星が大量の水をもたらした