第2回 超新星はなぜ爆発するのか~スパコンを使ってわかった超新星のナゾ
超新星はどのように誕生するのでしょう。実は太陽のような質量の大きな恒星が寿命を終えることから始まります。恒星が1000万年くらいをかけて、100倍に膨れ上がり、赤色超巨星というものになり、その段階である時、爆発します。100日後、超新星になり、さらに数100年をかけて超新星の残骸になります。残骸はたいへんきれいで幻想的です。

超新星はなぜ爆発するのでしょう。実はそれが、天文学者を50年ほど悩ませている最大の謎でした。仮説を立てて説明してみましょう。超新星は、真ん中にある鉄球が重力崩壊を起こし、みるみる縮んでいきます。例えて言うと、日本ほどの大きさの鉄球が、1秒の間に山手線ほどの大きさにまで縮みます。その収縮エネルギーが外に向くと、爆発を誘います。ここで中心からニュートリノという不思議な粒子が発生し、それが爆発を後押しし、爆発します。

みなさんはニュートリノをご存知でしょうか。ノーベル物理学賞を受賞した小柴昌俊博士がヒントです。小柴博士が岐阜県にあるカミオカンデでキャッチしたのが、超新星爆発から届いたニュートリノでした。小柴先生はニュートリノ天文学を打ち立てたのです。
ニュートリノというのは不思議な粒子で、とても小さく、普通の物質だとニュートリノとぶつかってもすり抜けてしまう性質を持っています。ところが大きな星のようなとても重くて、非常に高密度な物質の中では、物とぶつかって、エネルギーを受け渡します。私たちはその時の受け渡すエネルギーが、爆発を加速させるのでないだろうかという仮説を立てたわけです。つまり、超新星爆発における、ニュートリノ加熱説です。
天文学者の最大の謎だった超新星爆発の仮説が正しいかどうか。それを確かめる方法が1つだけあります。それが私たちの行った、スーパーコンピュータ「京」を使ったシミュレーションで爆発を再現してみることでした。「京」はかつてないほど大規模なシミュレーションを可能にします。それで、より現実に近い設定で超新星爆発を計算できるようになったのです。
