第4回 ホームランを打つには(2)
スイング速度を上げる練習で正確性も安定性もアップ
ホームランを打つためには、高い衝撃力が必要です。衝撃力というのは質量×速度であり、重いバットで速いスイングで打たなくてはなりません。バットはほとんどが900グラムぐらいで変わらないので、スイングの速さが重要になります。しかし、ここで問題になるのが「フィッツの法則」。運動速度を求めると正確性は損なわれるという法則です。例えば、ゆっくり書けばきれいに書けても、ものすごく速く書けば汚くなりますよね。この当たり前の現象が「フィッツの法則」。
果たして、速くスイングすることと正確にスイングすることは両立しないものなのでしょうか? ボールは普通真横から来ます。それに対しバットも真横に振るのが良いのでしょうが、基本的に真横に振るための筋は存在せず、多くの筋力の合力によってバットを振っていることになります。そのときに、力が入れば入るほど無数の筋の協調が乱れてしまうと考えられています。

しかし、爆発的なスイングに限っては例外だといわれています。運動が極端に急速で、かつ大きな力の発揮を必要とする動作によって、逆に正確性が上昇するのです。
紙に小さな黒丸を書いてください。その黒丸をめがけて上のほからゆっくり指を下ろしてください。当然黒丸の上に乗せることができますね。でも速くすると、ゆっくりのときより上手に黒丸に乗らなくなりますよね。速くすればするほど、どんどん正確性が損なわれていきます。でも面白いことに、最大速度に上げた時にはこの狙準運動の正確性は回復するという研究報告があります。 ということは、思いっきり振ってよいことになります。中途半端なのがいちばんよくないようです。
ピッチャーがボールを投げてから自分の手元に来るまで、バッターに与えられた時間はごくわずか。もしスイング速度が上がったら、打者に与えられた時間は伸び、どんなボールが来るか見極める時間は増えます。与えられた時間が長ければ、それだけタイミングが取れるので、正確性も良くなります。そしてフルスイングにより、空間的な正確性も高まります。さらに最初に言ったように、速度が速ければ衝撃力が増すわけです。
そのうえ、スイング時間が安定してきます。常に思いっきり振る練習をすると、スイング時間が一定になり、ピッチャーの投げたボールに対してより正確にタイミングが合わせられるようになります。自分のスイング速度を知り、一定に保つことが、ホームランを打つために重要になってきます。

