第2回 引き出しの携帯電話からも、500億円相当の資源

携帯電話を例に、都市鉱山の話をしましょう。携帯電話にも多数の素材が使われているので、使用済みの携帯電話は「都市鉱山」と言えるのです。
携帯電話は何でできていると思いますか。まず外装のプラスチックですね。携帯の中はどんな素材が使われていますか。リチウム? 正解です。リチウムイオン電池に使われています。ガラス? うーん、ガラスは今、樹脂に代わりつつあるんですね。シリコンは半導体に使われます。銀はボタン電池などに使われます。
金は携帯電話にも使われています。金は見た目がきれいだからだって? いやいや、見えない部分に使われています。金は、同じくさびにくいという特徴を生かして、携帯電話の電子基板に用いられています。携帯電話は手などに密着して使用されるので、汗が揮発して水蒸気が内部に入り込む可能性があるためです。また携帯に内蔵されたカメラは、銅とニッケルと金が使われています。
レアメタルと呼ばれる希少金属もたくさん使われています。振動モータにはネオジムが、チップセラミックコンデンサーにはパラジウム、チタン、バリウムなどが、液晶にはインジウムが使われています。これらも都市鉱山には欠かせない有用物質です。

金を例に、携帯電話を回収した場合のことを考えてみましょう。携帯電話の中には、金はだいたい20ミリグラムくらい入っています。今、金は5000円/gだから、携帯1台当たり、金は100円くらいの価値があることになります。
では、今日本に、携帯電話は何台くらいあると思いますか。日本人全員が平均して1~2台持っているとして、ざっと2億台あることになります。でも使い終わった携帯の数はそれぐらいじゃあ済みません。君は今のスマホで何台目ですか。4台目!どこに置いてありますか。捨てちゃった? いえ机の引き出しにしまっているって? 1人当たり4台が引き出しにあるとしたら、日本全国で5億台くらいの携帯が眠っていることになります。
そうすると、机の引き出しにしまった金は全部でいくらになりますか。1台当たり100円分の金だから、100円×5億台=500億円! これが俗に、“タンスの中の都市鉱山”と呼ばれるものです。これをいかに回収するか。それが都市鉱山の課題なのです。
