臨床心理学

発達障害

自閉スペクトラム症の診断は自己理解と支援の第一歩


大島郁葉先生

千葉大学 子どものこころの発達教育研究センター(大阪大学大学院 連合小児発達学研究科 小児発達学専攻)

出会いの一冊

かくかくしかじか

東村アキコ(集英社)

著者の自伝漫画です。美術大学の受験をしたときのこと、進路選択に悩んだことなどがかかれています。

こんな研究で世界を変えよう!

自閉スペクトラム症の診断は自己理解と支援の第一歩

コミュニケーションが苦手で、こだわりが強い

自閉スペクトラム症(ASD)という病気を知っているでしょうか?ASDは、対人コミュニケーションの難しさとこだわりの多さを中心とした特徴をもつ、発達障害のひとつです。人口の1-5%くらいの人が生まれつき持っていて、生涯保有します。

周囲が気づく場合と、自分で違和感を持つ場合が

ASDを持つ人は、小さいころに周囲のおとなが気づいて診断されるケースもありますが、一定数のASDの人は、思春期以降に生活の中で「自分は人と、興味の持ち方や人づきあいの仕方が違うな」と、違和感に気づき、そこからASDがあったということに、気づく場合もあります。

ASDへの偏見が、医学的診断を遠ざけている

ASDの人は、自分のASDの特徴を理解し、ASDの特性に対して工夫をしたり、配慮を周りからもらったりすることで、通常の人と同じような生活を送ることが充分に可能です。そのためには、「ASDである」ということを診断される必要があります。

しかし、多くの人は診断されること自体を嫌います。それは、ASDに対するスティグマ(悪い偏見)があるからです。ASDは周囲の人から「わがまま」「冷たい」と誤解されやすいため、診断を怖がる人が多いのです。

私は、ASDの診断は、その人が幸せになるための1つの大事なステップだと思ってます。この考えをもとに、現在まで、診断の受け入れとASDの工夫を身につけるプログラムを開発し、その効果を検証しています。

国際スキーマ療法学会での発表
国際スキーマ療法学会での発表
先生の専門テーマ<科研費のテーマ>を覗いてみると

「青年期の自閉スペクトラム症者と家族に対するスキーマ療法を用いた心理教育の実証研究」

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◆ゼミの初回に

自閉スペクトラム症の「社会的カモフラージュ行動」について話します。社会的カモフラージュ行動とは、自分が「普通の人」に見えるように、周りの人の振る舞いをまねることです。大島ゼミでは。この「社会的カモフラージュ行動」を研究しています。 

もっと先生の研究・研究室を見てみよう

大島先生のページ(科研リンク)

先生の著書『事例でわかる 思春期・おとなの自閉スペクトラム症 当事者・家族の自己理解ガイド』(2019年・金剛出版)

先輩にはこんな人がいる ~就職

◆主な職種

医療職(臨床心理士)

先生の学部・学科は?

現在、大阪大学を中心とした、千葉、浜松、福井、金沢の5大学の連合大学院の小児発達学研究科に在籍しています。博士課程しかない大学院なのですが、社会人の方を多く受け入れていることが特徴です。また、小児発達が専門であることと、医学部が中心の研究科ですので、基礎と臨床の両方から、発達障害の研究をしている人が多くいます。

先生に一問一答
Q1.18歳に戻って大学に入るなら何を学ぶ?

医学

Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? 

アメリカ。留学したい大学があるため。

Q3.大学時代の部活・サークルは?

映画サークル

Q4.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

市場調査のアンケートの処理を行っていました。


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