寄生虫による皮膚感染症 共生ウイルスがいるとなぜ重症化する?
哺乳動物に寄生する原虫にウイルスが寄生
私は「原虫」という寄生性の原生生物(単細胞の真核生物)の研究をしています。顕微鏡でないと見えない寄生虫の研究をしているということですね。赤血球に寄生するマラリア原虫に代表されるように、ヒトや家畜に莫大な被害を引き起こす原虫が世界にはたくさん存在します。
私が注目しているのは「原虫共生ウイルス」です。近年、様々な原虫に高頻度にウイルスが共生していることが明らかになってきています。哺乳動物に寄生する原虫に寄生(感染)しているウイルスは、マトリョーシカ(入れ子)を想像してもらえるとわかりやすいかなと思います。
このウイルスは、原虫の外に出ることはなく、原虫が分裂する際にウイルスも一緒に受け継がれます。通常、感染症研究は宿主―病原体の1対1の関係に注目されるため、原虫に共生しているウイルスについてはこれまで無視され、何をしているのかほとんどわかっていませんでした。
共生ウイルスが原虫の病原性を操作
皮膚リーシュマニアという、難治性の潰瘍を引き起こす、海外で非常に問題となっている寄生虫が存在します。私は、共生ウイルスが存在すると、皮膚リーシュマニアが引き起こす病態が悪化することを明らかにしました。つまり、共生ウイルスが原虫の病原性を操作しているということです。
現在は、なぜそのようなことが起こるのか、そのメカニズムについて研究を行っています。この研究を進めることで、共生ウイルスをターゲットとした、新たな原虫症のコントロール法の開発に貢献できると考えています。
小さい頃から生物が好きだったので、図鑑を読むのが大好きでした。生き物に関わる研究をしたいと思い進学した東北大学の農学部で、寄生虫という存在に出会いました。多くの寄生虫は複数の宿主(寄生される側の生物)が生育に必要ですが、外界、昆虫、哺乳動物の体内などのまったく異なる環境に対応するために姿を大きく変化させます。また、寄生に特化するために栄養を自分で作るための遺伝子がなくなっていたりします!世界にはそんな面白い生物が・・・!それが興味を持ったのがきっかけです。
「共生ウイルスによる皮膚リーシュマニア症重症化機構の解明」
◆主な業種
(1) 薬剤・医薬品
(2) 官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1) 獣医師、獣医関連業務
(2) 基礎・応用研究、先行開発
東京農工大学の共同獣医学科は、家畜や野生動物などの専門家がたくさんいるため、臨床ー基礎両方の視点を大事にした研究ができます。また、様々な動物資源にアクセスすることが可能です。野生動物や家畜にはまだ報告されていない病原体がたくさん存在するため、新たな感染症に対応できるような研究を行うことが可能です。工学部との連携に力を入れているため、新しい工学的手法を取り入れた感染症研究ができます。
| Q1.学生時代に/最近、熱中したゲームは? メギド72 |
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| Q2.大学時代の部活・サークルは? オーケストラ |
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| Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 美味しいお店巡り |

