アーティストが描いたような絵を3DCGで動かす!
3DCGを絵に変える仕組み
私は、3DCGを使って絵を動かす技術を研究しています。一般的に、3DCGと聞くとリアルな見た目を表現する技術を思い浮かべがちですが、計算を工夫することで様々な質感を表現することができるんです。
イメージしやすい例で言うと、ライティング計算に基づいて明暗に色を割り当てるトゥーンシェーディングという技術があります。元の計算結果は3Dモデル上で滑らかに変化していますが、変換後の色は減色されてアニメみたいになっています。3DCGのライティングが動くと、変換された絵も合わせて動くので、正に3DCGで絵が動くことになります。
自動的な変換だけでは物足りない部分もあり、アーティストが後から陰影を調整したり、より複雑な質感表現をデザインできるようにすることが研究課題となり得ます。
ストローク一本一本を3DCGで合成する技術の開発
最新の研究では、「アーティストが一本一本描いたようなストロークをコンピューターで動かすことができるか」という課題に取り組んでいます。
ストロークは方向、色、太さ、長さが構成要素となり、3DCGからこれらを合成します。
基となる3DCG特徴とお手本のストローク描画の構成要素の関係性を学習すれば、ライティングやカメラで3DCG側を動かしてストローク描画のアニメーションを合成できるようになります。ストローク一本一本の時間連続性も考慮しながら合成し、アーティストのストローク描写の特性を再現しつつ破綻のないアニメーションを実現しています。
プログラムで描くキャンバスには無限の可能性が広がっています。技術が絵で見えるところがCGの最大の魅力なので、ぜひ一度遊んでみてください。
「微分幾何に基づくアート表現基盤の創出」
国際会議SIGGRAPH
CGのトップカンファレンスで、ゲーム・映像産業の技術者・研究者が集まる世界最大のお祭りでもあります。CGの技術は映像になることが強みで、最新技術が詰まったTechnical Papers Trailer(https://youtu.be/VBZ2sDxvZQE)を見るだけでもワクワクするのではないでしょうか。
また、今年はアジア版のSIGGRAPH Asiaが東京で開催されます。CG技術に触れるまたとない機会ですので、興味のある方はぜひ見てみてください!
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