常識を疑い、長い共有結合の創出に成功! 結合の限界を探究
それって本当にそうなの?
化学の分野では自分が行っている研究が世界の最先端であり、まだ誰も手にしたことのない分子や見たことのない現象に出会うチャンスが多くあります。世界中の誰も知らないことに最初に出会えるとしたらワクワクしませんか?
研究対象は何でも構いません。私が大事にしていることは、これまで常識として考えられてきたことに対して、「それって本当にそうなの?」という疑問を持つことです。
長さが変化しない炭素同士の単結合
例えば、この世界にあるものはほぼ全て、原子と原子が結びついて化学結合を形成することでできています。身の回りの衣服やプラスチック、食品や薬、あるいは皆さん自身もこの化学結合によって形成されているわけです。
ここで化学結合の中でも有機分子に見られる共有結合についてもう少し詳しく見ていきましょう。
有機分子には炭素原子が必ず含まれるため、炭素同士の共有結合が特に重要であり、単結合、二重結合、三重結合の存在が広く知られています。中でも、炭素-炭素単結合は極めて剛直であり、基本的にその長さは変化せず決まった値(0.154ナノメートル)を示します。
特殊な分子をデザインし、超結合を創出
ではこの長さは本当に変わらないのでしょうか?
そのような素朴な疑問からスタートし、私たちの研究グループでは長い結合、すなわち結合の限界について探究してきました。特殊な分子をデザインすることで、この長さをはるかに超えて伸長した0.18ナノメートルを超える結合(超結合)の創出に成功し、従来の常識を大きく打ち破りました。これにより伸長した結合が伸び縮みし得るという新たな発見にも結びつきました。
このように、常識とされていることであっても本当にそうなのか?と疑問に思うことが非常に大切です。我々のグループではこのほかにも、平面構造をとることが一般的な炭素=炭素二重結合を歪ませることで、新しい機能の実現を目指した研究も行っています。
中学生の頃は数学が好きで数学科に進学したいと思っていましたが、高校の化学に出会ってからは化学の世界に惹かれていきました。特に、有機化学が好きで、大学では化学科に進学して有機化学の研究をしたいと思っていました。
当初は、有機合成そのものが好きだったため、合成メインの研究をしたいと考えていましたが、恩師に出会い研究をしていくうえで、すっかりハマってしまい現在に至っています。これまでのことを振り返ると、目の前のことに全力で取り組むことが何よりも大事だと感じています。
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 半導体・電子部品・デバイス
(3) 薬剤・医薬品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 品質管理・評価
(3) 大学等研究機関所属の教員・研究者
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? ドイツ。学位取得後に半年間ドイツで博士研究員をしていたため、第二の故郷のように思っています。機会があればもう一度暮らしたいです。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? Mr.Children『Tomorrow never knows』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? ソフトテニス部 |
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Q4.好きな言葉は? 「情けは人の為ならず」。意味を誤解している場合もあるかもしれませんが、人に親切にすることは巡り巡って自分のためになる、という意味のことわざです。 |