植物の根や微生物が、土中の水と窒素の循環に関わっている
植物が水を吸うと土中の水が動く
気候変動に適応して持続的に農業を行うために、植物の根と土壌微生物の働きに着目して、土中での水分と窒素の動きを調べる研究をしています。
植物は、根から水と肥料を吸収して光合成を行い生長しますね。その吸水量は根の周辺に蓄えられている水分量に比べると多いので、水はすぐになくなってしまいます。小学生のころ、植木鉢で育てた朝顔に、ほぼ毎日水やりをしていませんでしたか?
ではなぜ、雑草や畑の作物は、夏に1週間以上雨が降らなくても枯れないのでしょうか。実は、土の世界には、水が多い方から少ない方へ移動するという仕組みがあります。そのため、根による水分消費のない深い所にある水が、根のある上方に向かって供給されるのです。
見方を変えると、根による吸水が土中水を地中から地表面へ向かって動かしているとも言えます。根から植物体内に入った水は、葉から大気中に放出され(蒸散)、いつかどこかで雨となって再び土に戻るかもしれません。このように、植物は自身の生長のために水を吸いながら、地球全体での水循環の一部分を担っているのです。
窒素の動きは土壌微生物も関係
また、肥料成分となる窒素の動きには水分移動とともに土壌微生物の働きも関係しています。「土の性質」・「水分と窒素の動き」・「根と土壌微生物の働き」の関係は、相互に作用しているためにとても複雑です。しかし、その関係を理解することは、効率的な農業の展開や農地からの温室効果ガスの抑制のためなどに重要です。
「作物生育と微生物活動に着目した水分移動過程における畑地土壌中の窒素動態」
◆学んだことはどう生きる?
卒業生は以下の進路で活躍しています。
・国家公務員(農林水産省や地方農政局)、地方公務員(県庁の農林水産部など)
・コンサルタント(農業土木)
・建設業
農学部食料生産環境学科農村地域デザイン学コースでは、農業の基盤である「農地」「ダム・水路」などの整備や保全、また農村地域での暮らしを次世代に引き継いでいくことに関する研究をしています。大学での学びが、卒業後の業務に直結する点が強みです。