流体工学

空気の流れ

ボールにどんな回転を与えれば、どんな空気の流れが起きるのか


武藤昌也先生

名城大学 理工学部 環境創造工学科(理工学研究科 環境創造学専攻)

出会いの一冊

いまさら流体力学?

木田重雄(丸善出版)

物理を学ぶ際に、まず数式を学んだ上で実際の現象を理解しようとするのと、実際の現象を見た上で理解に必要な数式を考えるのとでは、取り組みやすさの印象が異なると思います。本書の内容はどちらかと言えば後者に該当し、教科書というより読み物として読み進めやすいと思います。

また、流体力学だけではなく大学での他の学問においてもたびたび見られる、「興味を持ったテーマを深く考えるために様々な知識を寄せ集める」というような方法を学ぶのに良い書籍だと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

ボールにどんな回転を与えれば、どんな空気の流れが起きるのか

空気の流れとモノとの力のやりとり

木々のざわめきや水面の揺らめきがどのようにして起こるのかと考えると、風と木々や水面との間で力のやり取りが起こっているのだろうと想像がつきます。しかし、風として吹く空気は無色透明であるため、観察によってどの方向に力のやり取りが起こっているのかを理解することは容易ではありません(煙がたなびくなどしていればある程度はできるかも知れませんが)。

もし時々刻々変化する空気の流れを視覚的に観察して理解できれば、例えば野球やサッカーのボールに応用して、どの方向にどれだけの回転を与えれば、周囲の空気との力のやり取りを経て、ある時には直線を、別のある時には曲線を描くはずだと予想できるでしょう。

回転する球周りの流れを数値シミュレーション

一方、近年のコンピューターは著しく性能が向上しており、物理法則に基づいた数値シミュレーションを行うことによって、上記のような流れを視覚的に観察、理解する方法が以前よりも大きく進んできています。

私は普段は意識しないことも多い風の流れがきちんと物理法則に沿っていることに非常に魅力を感じ、その一例として回転する球周りの流れを対象にした数値シミュレーションを行い、速度の大小に伴う流れの様相の変化や、マグヌス力と呼ばれる特徴的な力の解析を視覚的な観察を含めて行いました。

最近では工業機器の中の流れを対象にして、燃焼反応が起きたり、粒状の粒子が一緒に流れるような状況の解析に取り組んでいます。

球周りの流れの数値シミュレーション結果からある瞬間の流れの様子を解析する研究風景
球周りの流れの数値シミュレーション結果からある瞬間の流れの様子を解析する研究風景
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