地球規模の電気回路「グローバルサーキット」と雲
雷や積乱雲が発電
地球表面と下部電離圏を結ぶ大規模な電気回路、「グローバルサーキット」が存在することが判明しています。
地球表面から高度60 kmから1000 kmにかけて広がる「電離圏」には、薄いプラズマと濃い中性大気が混在しています。この電気回路は雷や積乱雲、雨などによって発電され、地表と下部電離圏は高い導電性を有しており、大きなコンデンサのような性質があります。
世界最高レベルの雲レーダ
このグローバルサーキットの電流は、分子イオンによって運ばれています。これらの分子イオンは雲の形成に影響を与え、気候変動にも影響を及ぼす可能性が指摘されていますが、具体的なグローバルサーキットと雲の関係についてはまだ解明されていません。
そこで、私たちの研究グループは、世界最高レベルの空間分解能を有する雲レーダFALCONと大気電場観測ネットワークを組み合わせた観測システムを開発し、これらの関連性を調査しています。
世界でも珍しい現象を関東でキャッチ
例えば、2016年11月24日に関東で発生した異例の降雪では、関東の4か所で78分の周期で大気電場が振動しており、これに最初に気づいたのは大学院生でした。
この現象は以前に報告されたことがほとんどなく、驚きとともに、雲レーダデータとの比較からそれが雪雲内部の構造によるものであることが明らかになりました。従来、大気汚染が大気電場の大きなノイズ源になるとされ、南極での観測が主流でしたが、関東での観測により世界的に珍しい現象を捉えることができました。
今後は、グローバルサーキットと雲の関連性を解明した上で、グローバルサーキットと下部電離圏電流の関係についても詳細に明らかにしていく予定です。
高校生の頃から、私は大学で漠然と地球科学を学びたいと考えていました。その理由は、自分が生まれ生活している惑星である地球に深い興味を抱き、地球上の多様な自然現象を理解したいと願っていたからです。
大学入試では解答スピードが求められますが、私は高校生時代、難解な問題に時間をかけて取り組むことを願っていました。現在は大学で地球科学の問題を時間をかけて探求し、高校生の頃に思い描いていたことが今思うと実現できていたことに驚かされます。
「グローバルサーキットと雲との関連性に関する研究」
◆主な業種
(1) 電気機械・機器(重電系は除く)
(2) 通信
(3) マスコミ(放送、新聞、出版、広告)
◆主な職種
(1) システムエンジニア
(2) 設計・開発
(3) 保守・メインテナンス・維持管理、運用・システムアドミニストレータ・サービスエンジニア
◆学んだことはどう生きる?
卒業生は通信業界において、機器開発、システム開発、設計、保守、運用などのシステムエンジニアとして、主にNHKや民放、電気通信事業関連、無線機器メーカーで活動しています。研究では電波を用いて電離圏を探求し、大学時代に十数名の卒業生が第一級陸上無線技術士の国家試験に合格しました。この資格を有すると、放送局や電気通信業務用の固定局、無線測位局など、あらゆる無線局の無線設備の技術的な操作が可能で、多岐にわたる分野で活躍しています。
当学科の研究室では、地上で複数の周波数帯の電波を観測し、それらのデータを解析することで電離圏と大気圏に関する研究を行っています。特に注目すべきは、雷放電から発せられる電磁波や電波時計に使用される電波を観測する点です。これらの電波を用いることで、他の周波数では把握できない電離圏下端のプラズマ密度を知ることが可能です。
観測は国内だけでなく、東南アジアやフィンランドなど世界中で実施しています。これにより、地球の異なる地域における電離圏および大気圏の性質に関する豊富なデータを取得し、まさにグローバルな研究を進めています。
「50のなぜ?」シリーズ/「…ってなんだ!?」シリーズ/GO GO!ミルボ
名古屋大学宇宙地球環境研究所
様々なテーマにわたり、漫画と適切な表現を用いて非常にわかりやすく解説されています。質問は魅力的で、高校生が興味を持ちそうなトピックに焦点が当てられています。さらに、多岐にわたる質問が掲載され、多面的な視点を養うことができます。興味を引く部分だけを読んでも十分に勉強になります。
[webサイトへ]
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 地球科学 |
|
Q2.一番聴いている音楽アーティストは? David Garrett『チャルダーシュ - ジプシーダンス』 |
|
Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『ショーシャンクの空に』 |
|
Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? スーパー銭湯巡り・サウナ |