リハビリテーション職の一つに、作業療法士という職業があります。作業療法とは、身体や精神の障害に対し、主に社会適応能力の回復を図るため、様々な趣味活動、身体活動、その他の活動を提供して、心と体の病の回復・改善につなげる療法です。
対応する病の中には認知症や、発達障害、統合失調症などがあります。これらの病は実はいまだに原因がよくわかっていない病なので、残念ながら現在のところ根本的にその病を治す方法はありません。これらの病に対しての現在の作業療法の主目的は、社会参加・復帰につなげるための療法といえます。
温熱・振動音響刺激などの感覚刺激で脳内の血流と、血圧が改善
私の研究の一つに、高齢者の病の原因を探る作業療法の研究があります。例えば、老人病院入院患者を対象に、スチームフットスパというやや高温の水蒸気を用いた足湯治療を行ったところ、かなりの高率で最高血圧が低下し、中には、血圧を下げる薬の減量に結びついた人もいました。高温の水蒸気を用いた足湯は、脳内の血流を改善する効果も期待できます。
また音楽の低周波を振動に変換する「振動音響療法」を、認知機能が低下し抑うつや混迷等の心理的に不安定を抱える老入を対象に2 週間実施した結果でも、睡眠障害や抑うつの改善、注意機能の改善、および血圧の改善が見られました。
一般的な傾向は?
- ●主な業種は→医療・福祉現場のリハビリテーション
- ●主な職種は→作業療法士
分野はどう活かされる?
保健医療分野での「作業療法」というリハビリテーション領域
皆さんも高校に入ったら、文系か理系を選択する時が来ると思います。科学の領域においては、文系は人文科学、理系は自然科学(応用科学)に当てはまります。作業療法は、人の心(人文科学)と、人の体(自然科学)の両方に働きかける療法です。両手の機能に置き換えて考えると、右利きを文系と考えると、左利きは理系です。つまり作業療法は、両手効きになります。右効きの人も、左手効きの人も、日常の生活では両手を使いますよね。学問も一緒です。作業療法にかかわらず、双方の学問をしっかりと楽しく学びましょう。
県立広島大学は、3つのキャンパスからなります。保健福祉学部は、三原キャンパスにあり、リハビリテーション領域の3つ(言語聴覚・理学療法・作業療法)が揃っているのは、国公立では当大学だけですので、多面的・統合的に、リハビリテーションのチーム医療を学べます。
興味がわいたら~先生おすすめ本
自分がわかる 性格の本
秋山さと子
ユングの性格論についてわかりやすく書かれた本。性格とは?合う人と合わない人がいるのはなぜ?性差とは?自分に合う異性とは?など、自分のことや性格について易しく教えてくれる本です。少し自分の性格を客観的に見ることができると、自分の嫌いと思っている性格の部分も、少し好きになるかもしれませんよ。 (双葉文庫)