脳の血管が破れたり詰まったりすると、脳に血液が届かなくなり、脳の神経細胞に障害が起こります。これが、脳卒中で、日本人の死因の第3位の重篤の病気です。死に至らなくても脳卒中後には、知覚や認知機能が低下する高次脳機能障害が見られる場合があります。
その高次脳機能障害について、適切に診断・評価する手法や効果的なリハビリテーション手段を開発・研究しています。とくに、自分のからだが認知できなくなるという「ボディイメージ」の障害や、左視野にある物や人に注意が向けられなくなる注意障害を専門に研究しています。
また、脳卒中後には運動障害も起こることがしばしばあり、手や足の運動障害から効果的に機能回復を促進させるリハビリテーション手段を開発しています。一方、脳に障害がないにもかかわらず、慢性疼痛を持つ方でも、しばしばボディイメージの障害がみられます。このような方々に対する効果的なリハビリテーション手段も開発しています。
リハビリテーション科学、神経科学、工学の研究者による連携
現在、リハビリテーション科学分野と神経科学分野、工学分野の3分野の研究者が積極的に連携しながら、社会に貢献する研究成果を挙げようとしています。私自身もその一人です。
近年、脳のメカニズムが明らかになりつつあり、そのメカニズムを応用した治療が徐々に開発されています。私も障害からの機能回復を積極的に促進させる治療を開発しています。こうした知の結集により、脳卒中患者さんの本当の意味での社会復帰が促進できると考えています。
一般的な傾向は?
- ●主な職種は→大学研究者、研究所研究員、理学療法士、作業療法士、言語聴覚士
- ●業務の特徴は→リハビリテーション、研究
分野はどう活かされる?
大学教授として教育を行っている卒業生、研究所研究員として高度な研究を遂行している卒業生、現場の療法士として、診療だけでなく研究のマネージメントも行っている卒業生がいます。
今後、さらに高齢社会が進みます。リハビリに関わる専門職の活躍の場はますます広がりますが、近未来を切り開いていくためには、経験だけでなく高度な知識が必要になってきます。高度な研究センターを有している大学を卒業していく学生は、その分野におけるリーダー的存在になること、間違いありません!
アットホームな大学です。大学の中には、スタイリッシュなニューロリハビリテーション研究センターがあり、そこでは、同じフロア・部屋で教授、大学院生、学生が熱心に研究に取り組んでいます。同じ部屋なので、すぐに質問もできたりします。