健康に良い食品成分として有名なものにポリフェノールがあります。ポリフェノールは、野菜や果実など、ほとんどの植物に存在する苦味や色素の成分で、自然界に5000種類以上あると言われています。お茶に入っている渋み成分のカテキンは、ポリフェノールの一種です。ポリフェノールは抗酸化作用が強く、活性酸素などの有害物質を無害な物質に変える働きをし、動脈硬化など生活習慣病の予防に役立ちます。
食品加工の工程でポリフェノールは変質するのか
私は、主に食品中の機能性成分を研究し、体の調子を整える機能を持った物質を調べています。その一つが、ポリフェノールです。その有効成分の探索、分離、化学的な特徴の解析を行っています。さらに、ポリフェノールが、植物として生育していた環境や、食品にするための製造工程でどのような変化を受けるのか、有機化学的な視点から、分子レベルで明らかにすることを目的として研究を行っています。
「食品科学」が 学べる大学・研究者はこちら
その領域カテゴリーはこちら↓
「8.食・農・動植物」の「31.食品科学、栄養学」
一般的な傾向は?
●主な業種は→化学工業、食品産業
●主な職種は→研究開発、品質管理、生産管理
分野はどう活かされる?
4年生で卒業する学生の場合、液体クロマトグラフィーやガスクロマトグラフィーなどの分析機器を使った、品質管理業務に携わる学生が多いでしょうか。大学院を修了した学生の場合は、研究開発を行っている人が多いですが、取り扱っている物質は学生のころとは異なることが多く、研究の進め方や物事の捉え方という点を活かしていると思います。
応用生物科学部応用生命科学課程は、食品の開発・製造から消費、さらにはその先の人の健康や生活環境に至るまでを幅広く学ぶことができます。食品科学というと、管理栄養士や家政科をイメージされる方も多いかと思いますが、私達の課程は少し違います。食や生命に関わる様々な現象を「化学」と「生物」の視点から学び・研究を行っており、「食品科学」というよりは「生命科学」と言った方がよいのかもしれません。
「化学」というと、難しい記号や試薬が出てくる、なにやらおそろしいイメージがあるかもしれませんが、モノを食べる、モノを見るなどすべての生物の生命活動は、突き詰めていけばすべて化学反応です。食品に限らず、身の回りで起こる様々な自然現象を化学の視点から明らかにしてみませんか。
果物や野菜を切っておくと、切り口が茶色になります。なぜそのようなことが起こるのでしょうか。その色の変化は、果物や野菜の種類によって変わるでしょうか。それを防ぐために有効な方法にはどんな方法があるでしょうか。