保存治療系歯学

口腔細菌バランス

歯周病が病気を引き起こす! 歯科が病気予防を担う時代へ


片桐さやか先生

東京医科歯科大学 歯学部 歯学科(医歯学総合研究科 歯周病学分野)

出会いの一冊

日本人はこうして歯を失っていく

日本歯周病学会、日本臨床歯周病学会(朝日新聞出版)

日本の歯周病に関する学会2団体が監修して、一般の読者を対象に、歯周病とはどのような病気か、また、糖尿病など、どのような他の疾患に影響するかなどが書かれています。

ご自身の口腔内のお手入れ方法が適切かどうか、歯科医院に通院するにあたって気を付けることなども書かれていますので、普段の生活においても知っておいたほうが良い情報がたくさんあります。この本の続編も出ており、現在の歯科医学でどのような研究が行われているか、なども記載されています。

こんな研究で世界を変えよう!

歯周病が病気を引き起こす! 歯科が病気予防を担う時代へ

口の中で細菌がバランス良く共生

毎日、ご飯を食べている口腔という臓器が、とてもユニークな臓器であることはご存知でしょうか。歯が口腔上皮(歯肉)から頭を出しており、自己と外部環境を隔てる上皮バリアの連続性が断裂している、全身で唯一の臓器です。自己と外部環境が繋がっているにも関わらず、全身の恒常性が破綻しないのは、口腔の様々な細菌が精巧なバランスを保って共生しているからです。

糖尿病や肥満、脳機能への影響も

そのため、むし歯や歯周病のような、この口腔内細菌叢のバランスが崩れた、「口腔内細菌叢破綻」が起こることは、上皮バリアの破綻を意味します。口腔内細菌叢破綻による上皮バリアの破綻は、全身の恒常性の破綻を引き起こします。

それによって、糖尿病や肥満のような代謝疾患や、早産、脳機能など様々な疾患の進展・増悪に影響することが多数報告されています。

口腔細菌と疾病の関係を明らかに

しかしながら、口腔と全身が関連しているという報告はあるものの、多くは疫学研究であり、口腔と全身のクロストークの分子的基盤は確立できておらず、口腔内細菌叢破綻が疾患を引き起こすというエビデンスとしては不十分です。

現在の私たち歯科医師の仕事は、歯を削ってつめる、歯を失ったら歯を補う、といった歯だけを見て歯だけを治療することに重きが置かれています。本研究では、口腔内細菌叢破綻と代謝異常の全世代におけるエビデンスを構築し、医科と歯科の垣根を越えた新たな代謝異常予防戦略の構築を目指します。

大学院生と実験しています。
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中高生におすすめ

小説みたいに楽しく読める 免疫学講義

小安重夫(羊土社)

コロナウイルスに関する話題なども含め、自己と非自己の区別、生体がどのように異物(非自己)を排除するかが、最新の知見を含めてわかりやすく書かれています。

一問一答
Q1.学生時代に/最近、熱中したゲームは?

ドラゴンクエスト

Q2.大学時代の部活・サークルは?

柔道部

Q3.大学時代のアルバイトでユニークだったものは?

居酒屋のホールで、200円で10分間まかない食が食べ放題でした。


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