第2回 高層ビルを建てることが「都市再生」か
「都市計画」という言葉を聞いたことがあるでしょうか。今から約100年前にアメリカのシティ・プランニング(City Planning)、あるいはイギリスのタウン・プランニング(Town Planning)の訳語として生まれました。狭義には建築や環境デザインなど、モノや空間をつくることを指しますが、広義には地域の活性化・まちづくりにも関わるような、横断的な分野までを扱います。
それでは「都市再生」という言葉はどうでしょうか。日本で本格的に都市再生という言葉が使われるようになったのは1999年、バブル経済崩壊後、景気が非常に停滞して国としての経済的活力が失われた時代です。当時の小渕恵三内閣では、国の経済政策を決定する最高会議である経済戦略会議において、「我が国の経済を再生させるためには、都市を再生させ、土地を流動化させることが重要な戦略的課題だ」という方針が出されました。大きな国家の経済戦略においてこのとき初めて「都市再生」というキーワードが掲げられたのです。この方針が出された後、内閣府に都市再生本部が設置され、2002年には都市再生特別措置法(都市再生法)という法律ができ、全国で都市再生と呼ばれているものが始まったのです。
都市再生には決まった形がありません。例えば東京では、都市に資金が投入され、元々低い建物だったところがビル群になります。ビル群には様々な企業がオフィスを構えるようになり、それらの企業活動により税収が増え、都市が潤っていきます。最終的には国民の1人1人の生活の質向上につながるというイメージがあり、そのシンボルが高層ビルということなのでしょう。地方でも、県庁所在地や30万人都市以上であれば似たような状況が起こってきたのではないかと思います。それまで多くは2階建ての商店、せいぜい10階建ての少し古びた商業ビルが建っていたような土地が再開発され、特にこの10年で超高層マンションに変わってきているのではないでしょうか。
このように、どちらかというと都市再生という言葉が持つイメージは「経済再生ために都市を再生しなければいけない、土地を流動化してどんどん開発を進めないといけない」というものですが、本当にそれが都市の再生なのだろうか、これからも同じことが続けられていくのだろうか、ということを考える時期に来ていると思います。