生物有機化学

天然由来の化合物

新たな手法で生き物が作る未知の化合物を探索、創薬へつなげる


上岡麗子先生

北里大学 海洋生命科学部 海洋生命科学科 応用生物化学講座

出会いの一冊

小学館の図鑑NEO [新版]水の生物

監修:白山義久、窪寺恒己ほか(小学館)

私たちの研究分野では、自然界に生息する生き物が作る化合物を対象にしています。特に、海や川など水圏環境で暮らす生き物や、その生き物の中で共生している微生物を調べ、彼らが作る魅力的な化合物を探索しています。

研究室内では化学系の実験が主ですが、海岸や干潟などの野外にサンプリングにも行きます。高校生の頃からいろんな場所を散策して生き物やその生息地に詳しくなっていると、大学に進学して研究されるときに皆さん独自の着眼点が生まれるのではないかと思います。

こんな研究で世界を変えよう!

新たな手法で生き物が作る未知の化合物を探索、創薬へつなげる

生き物が作る化合物が薬のヒントに

私たちがよく見かける医薬品は、一体どうやって開発されているか皆さんはご存じでしょうか?実は、今までに承認された医薬品の約半数は、自然界に生息する様々な生き物たちが作った化合物をヒントに開発されたものです。

生き物たちは、人間の頭では考えもつかないようなユニークな形や機能を持った化合物を作り、生存に役立てています。

微生物や海の底にいる無脊椎動物から

そこで我々は彼らの知恵を拝借し、これらの化合物を利用することで医薬品の研究を行っています。私たちはこれまで、このような天然由来の化合物を、抗菌活性や抗がん活性など、化合物が持つ様々な機能を指標に探索してきました。

例えば、微生物の培養液や海の底にいる無脊椎動物の抽出物にはとてもたくさんの種類の物質が含まれているのですが、その中から色々な方法をもちいて精製を繰り返していくことで、私たちにとって役に立つ機能を持つ化合物を見出していきます。

ユニークな化合物を遺伝情報から予想

ところが最近では、せっかく苦労して見つけてきても、すでに知られている化合物や似た形の化合物であることが多くなってきました。そこで私たちの研究室では、まだ世界で知られていないユニークな形を持つ化合物を発見するために、生き物の持つ遺伝情報を活用しています。

遺伝情報には、彼らが作る化合物の設計図のようなものが描かれているのですが、その設計図を読み解くことで、彼らが一体どのような形の化合物を作りうるのかを調べます。そして、面白そうな新しい形の化合物を作っていると予想されたものについて、抽出物からお目当ての化合物を探索するという方法で宝探しをしています。

研究室で実験している様子:抽出物から化合物を精製しているところです。
研究室で実験している様子:抽出物から化合物を精製しているところです。
テーマや研究分野に出会ったきっかけ

先生の研究報告(論文など)を見てみよう

「未利用微生物からのゲノムマイニング法による新規化合物の探索」

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研究室で実験している様子:抽出物などを濃縮しているところです。
研究室で実験している様子:抽出物などを濃縮しているところです。
学生たちはどんなところに就職?

◆主な業種

◆主な職種

◆学んだことはどう生きる?

先生の学部・学科は?

北里大学海洋生命科学部では、海洋に関する様々な研究が行われています。化学系の研究の他にも、海洋生物の生態や、養殖に関する研究など多岐にわたりますので、皆さんが興味を持てる研究テーマがきっと見つかると思います。また、建物の一階には、学生が運営するミニ水族館もあります。

先生の研究に挑戦しよう!

中高生におすすめ

動物のお医者さん

佐々木倫子(小学館ビッグコミックス)

理系の学部に進学したら楽しそうだなと漠然と思いました。

一問一答

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