細胞同士がリモートで会話して、壊れた組織を修復!?
様々な細胞が協力し合う
私たちの身体の中の組織・臓器は様々なストレスにより傷害を受けますが、損傷した組織は傷を修復して再び元通りの機能や形態を取り戻すことができます。このような壊れた組織を修復し再生する過程では、様々な細胞が協力し合っています。
例えば、上皮という組織は上皮細胞によって構成されていますが、上皮の一部が傷害を起こると上皮細胞だけではなく線維芽細胞、免疫細胞、血管内皮細胞といった様々な細胞が協調することで組織の修復を促していきます。このとき、それぞれの細胞同士が上手くコミュニケーションできないと、損傷組織の修復に異常が生じて最終的に組織の機能低下が引き起こされます。
コミュニケーションする組織・臓器
さらに最近では、身体を構成している多種多様な組織・臓器が互いにコミュニケーションし、生体の機能を一定に保つ恒常性(ホメオスタシス)を維持していることが分かりつつあります。つまり、脳、心臓、肝臓、筋肉など離れた組織がリモートで会話しているわけです。
謎の多い恒常性の仕組みをショウジョウバエで
私たちは現在、スマホやパソコンを使えば遠く離れた相手とも情報を交換できます。また、SNS等を通じて多数の相手に情報を発信することも可能です。しかし、組織傷害時に身体の中で空間的に離れた細胞や組織がどのように情報を共有し生体の恒常性を維持しているか、その仕組みにはまだまだ不明な点が多く残されています。
この問いを解くために、私は遺伝学的操作が容易なショウジョウバエという小さな生き物を用いて日々研究しています。さらに、組織傷害時の細胞同士の情報ネットワークの仕組みの解明は、がんや細菌感染といった身体の異常を引き起こす他の現象の理解にもつながると考えています。
もともとショウジョウバエを用いて、がんの発生・悪性化の研究をしていました。ある日、いつものように顕微鏡を覗いていると、がんを引き起こす細胞や組織の応答が損傷組織の修復再生で起こる現象とよく似ていることに気づきました。
そこで、最初は遊び心から組織修復の実験を始めてみました。その結果、がんと修復再生では共通の分子や細胞が関わっていることがわかりました。この発見以降、「組織修復」と「がん」を制御する細胞同士のコミュニケーションを研究しています。
「細胞生物学」が 学べる大学・研究者はこちら(※みらいぶっくへ)
その領域カテゴリーはこちら↓
「7.生物・バイオ」の「21.分子生物学・細胞生物学・発生生物学、生化学(生理・行動・構造等 基礎生物学も含む)」
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 日本史。生まれ育った場所が桶狭間に近いこともあり、幼少期から歴史が好きで高校の時は大学では史学を専攻しようと思っていました。結局は理系科目の方が得意で理学部に進学しましたが。 |
|
Q2.一番聴いている音楽アーティストは? X JAPAN。特に『Silent Jealousy』という楽曲が好きです。小6か中1の頃にX JAPANを初めて聴いて以降、今でもふとした時に聴いています。 |
|
Q3.感動した/印象に残っている映画は? バック・トゥ・ザ・フューチャー |
|
Q4.学生時代に/最近、熱中したゲームは? ダービースタリオン(学生時代)。今はほとんどゲームをしてないです。競走馬の血統表を見ながら、あれこれ配合を考える作業がとても楽しかったです。ゲームから得た知識が今でも競馬を見る際に大いに役立っています(当たるか否かは別として…)。 |