「地球の智恵」で放射性セシウム問題を解決しよう
日常を取り戻しつつある福島
福島第一原子力発電所事故から10年以上が過ぎました。事故から現在まで多くの災害が起こってしまい、福島の話はあまりニュースに上がらなくなってきました。その間、環境省主導の除染作業や減容化が粛々と行われてきており、福島の多くの都市は普段通りの生活を取り戻しつつあります。
課題は放射性セシウムの最終処分
しかし、除染物を運び込んだ原発の近隣では、今も復興は半ばです。環境中にある事故由来の放射性物質で現在問題になっているものは、放射性セシウムです。これを封じ込めて最終処分をすることは法律で決まっています。
最終処分のために重要なことは、最終処分材料が安全で信頼できるものであることです。私たちの研究室では、この材料の開発と安全性の評価を行っています。
鉱物化し、セシウムイオンを安定化
その中で私たちは放射性セシウムを鉱物化するアイデアを推しています。皆さんが高校化学で勉強するように、アルカリ金属イオンを含む化合物は水によく溶けます。これはセシウムも例外ではありません。
しかし地球上には「ポルサイト」と呼ばれるセシウム鉱物が存在します。このポルサイトはアルカリ性や酸性、中性溶液でも例外的にセシウムイオンを放出せず安定に存在できます。長い年月、地下の熱水や風雨にさらされても風化せず鉱物として産出される、これはまさしく、私たちがもとめる堅牢な材料です。
福島の問題を鉱物という「地球の智恵」を利用して解決させる、まさしく地学と化学と物理の融合で理科総動員による解決、ロマンがありませんか?
高校時代、高校物理の先生が授業で「放射性セシウム」の密封線源を用いた実験をしてくれました。原子の分野の教育は教科書だけ、という学校も多い中での実験体験は強烈なインパクトでした。今考えればこの体験は東日本大震災から10年以上も前でした。
この実験体験以来、原子物理学の分野に興味を持ちつつ化学分野で研究を行っていました。原発事故時にこの実験を思い出してセシウムについてもう少し詳しくやってみようと思ったのです。
「同位体希釈概念を超越する放射性セシウム濃縮を伴う最終処分型鉱物の合成と評価」
◆主な業種
(1) 小・中学校、高等学校、専修学校・各種学校等
(2) 金属製品
(3) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
◆主な職種
(1) 中学校・高校教員など
(2) 基礎・応用研究、先行開発
(3) 設計・開発
◆学んだことはどう生きる?
中学の理科の教員(大橋のもう一つの仕事が、中高大連携による中高の理科部の研究奨励)
消防士(福島の復興という途方もない問から、自分のできる貢献)
私が所属している共生システム理工学類は、理学部と工学部などが混在する理工系の総合学部です。そのため、理学工学横断で分野を分けずに研究している人が多く、また物理・化学・生物・地学の横断的研究も多いです。放射線や放射能で関係する研究が多いのが特徴です。
本研究は、すでに福島高校SSHとの共同での研究になっています(2024年3月11日に震災特集でNHKで高校生の研究活動が紹介されました)。
(1)福島の復興に必要なこと・ものを思いつく限りあげてみましょう。物理・化学・生物・地学などの高校理科とつながりそうなものはあるでしょうか? また、いったいどの大学のどの学部に行けばその研究ができるか調べてみましょう。
(2)今回紹介した放射性セシウム問題は「福島特有の問題」と言えます。このように地方には大都市にはない問題が山積しています。どのような地域に特化した問題があるかを調べてみましょう。その問題の解決に向けて研究している大学・学部を探してみましょう。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 経済学とメディア学 |
|
Q2.一番聴いている音楽アーティストは? クラシックが好きで、ショスタコーヴィチをよく聴いています。 |
|
Q3.感動した/印象に残っている映画は? 『陽のあたる教室』(1995年アメリカ)。一番聴いている音楽や大学時代の部活にも関連しますが、音楽をテーマにした作品で、号泣でした。 |
|
Q4.大学時代の部活・サークルは? 管弦学部(オーケストラ) |