交通は観光資源にも。遺産的価値を持つ鉄道を日英比較
交通産業と観光産業が交差する領域
私の問題意識は、交通産業と観光産業が交差する領域にあります。交通産業は、人や物の場所的移動を仲介する鉄道やバス、航空機や船舶などを対象にします。
一方で、観光産業は日常生活圏を離れて、人が別の場所の自然、社会や文化を享受するために必要となる、日常生活圏と脱日常生活圏とを仲介する交通産業、旅行会社、ホテルやレストランなどを対象にします。
世界遺産観光は「ヘリテージ・ツーリズム」
人間は自分に不足する何らかのものを対象に設定し、これを求めて行動を起こします。
例えば、地元の文化財や世界遺産のように、現在の人々によって、将来世代に伝えていくべき遺産的価値があると認められた存在物に何らかの価値を認めた人は、それを実際に見ようとする行動を起こします。これはヘリテージ・ツーリズムと呼ばれ、交通産業と観光産業に関連性を持ちます。
イギリスには100以上の保存鉄道が
そこで鉄道の沿線、あるいはその鉄道それ自体に遺産的価値があれば、生活交通と観光交通とが両立できる可能性があると考え、鉄道発祥の地であるイギリスに視点を変えたところ、保存鉄道という形態で、そうした両立がなされている場所が100ヵ所以上もあることがわかりました。そこで、日本とイギリスの遺産的価値を持つ鉄道を研究する、現在の研究課題を発想しました。
持続可能な自然、社会や文化に対して、現状では、制度面(上部構造・下部構造論/社会的意識形態論)からの視点と、個人行動(意識・社会的存在論)の視点とが、方法論として分離しています。私は、制度面(の構造的関連)から、集団を介した個人の心理という方法を交通産業と観光産業に適用して、検討しています。
「鉄道とヘリテージ・ツーリズムに関する日英比較史研究」
第1に世の中は変化すること、つまり歴史性を認識すること、第2に個別の事例を通じて、特殊性や普遍性を認識すること、第3に質が量を決めることなどを、よく学生に話しています。この上で、学生に新聞などから直近の交通や観光に関連する記事を報告させ、これを題材に上記3点を考えさせています。基礎文献として、三浦つとむ『弁証法はどういう科学か』(講談社)を指定しています。
◆世界遺産は世代を超えた共通の言葉 学生時代にチャレンジして欲しい(世界遺産検定)
◆主な業種
(1)金融・保険・証券・ファイナンシャル
(2)交通・運輸・輸送
(3)官庁、自治体、公的法人、国際機関等
◆主な職種
(1)営業、営業企画、事業統括
(2)事業推進・企画、経営企画
(3)人事・労務・研修、その他人事系専門職
商学部の学生は、リベラル・アーツを学べる総合学際ゼミと、交通や観光などを学べる商学専門ゼミの2つのゼミに所属できます。ゼミは20名前後で実施され、3年間継続できます。
私の研究には、社会科学、特に社会経済学や精神科学のような人間と人間との関係、人間とはどのような欲求、要求、欲望を持つ生き物なのかに関する基本的な学問の歴史、理論、政策が必要となります。したがって、ゼミでもリベラル・アーツに支えられた専門の科目の学びが求められます。そして、商学部ではこれらの条件を満たすことができます。
Q1.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? イギリスです。歴史を重視している側面を持っていること、大英帝国としてパックス・ブリタニカを経験したこと、地政学的に日本と類似していること、大陸ヨーロッパ諸国に近いことが理由です。 |
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Q2.一番聴いている音楽アーティストは? アストル・ピアソラ(アルゼンチンタンゴ)です。リズムとバンドネオンの音色に癒されます。特に、『リベルタンゴ』が好きです。次が、スタン・ゲッツ(ボサノバ)です。リズムとテナー・サクソフォンの音色は心安らぎます。『メニーナ・モッサ』がお気に入りで、聴いていると元気が出てきます。学生時代からジャズのアドリブに魅力を感じています。最近は、アルゼンチンタンゴの奥深さもわかってきました。 |