創薬化学は、これまでとは異なる視点で新薬を開発したり、既存薬を改良して治療効果の高い、または副作用の少ない薬を開発したりする学問分野です。例えば、今ある薬が効かないウイルスに対する治療薬の開発などを行います。
現在注目されているのは、核酸医薬品や抗体医薬品などの、病気の原因タンパク質や遺伝子など特定の分子を狙い撃ちする高分子医薬品の開発などの研究です。私の研究室では、現在、完治が難しい病気に対する治療や診断に貢献することを目指し、薬剤耐性HIV治療薬の開発、がん幹細胞をターゲットとした治療薬の開発、および、これらの病気に関係した診断方法の開発を行っています。
薬の使い方を考える
その他にも、薬の使用に適した形(剤形)や薬の飲み合わせ(薬物相互作用)の研究もしています。例えば、体内へ吸収される前に胃酸で分解されるような化合物は、そのままでは薬として使用できません。この場合、胃酸では溶けないカプセルに封入したり、胃を経由しない注射剤にしたりする方法などが考えられます。このようなカプセル剤や注射剤などの形状を剤形といい、新たな剤形の開発をしています。
薬の飲み合わせによっては、薬の効果が弱まったり、逆に効果が強すぎて副作用が引き起こされたりすることがあります。これを薬物相互作用といい、複数の薬を同時に飲むことが多い高齢者などでは特に注意が必要になります。この薬物相互作用についても研究を行っています。
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「10.薬」の「36.創薬系化学、製剤学」
一般的な傾向は?
●主な職種は→医薬品関連の研究・開発、薬剤師、公務員(薬事関係)
分野はどう活かされる?
製薬企業での医療品の開発や研究、薬局や病院での調剤
長崎国際大学薬学部では、1年次より病院や薬局での早期体験学習が組み込まれていて、医療人としての倫理観や心構えを育みます。また、少人数担任制を導入し、質の高い薬剤師を養成すべく、地域や他学部と連携したカリキュラムを設定しています。さらに、高度医療を担う人材を養成する大学院薬学研究科も設置されており、学部卒業後のさらに高度な研究・教育を修得できます。
高齢化社会を迎え、さらには新型コロナウイルスの出現など、薬の重要性は益々大きくなっています。薬学部で薬の専門家を目指してみませんか。
【テーマ例】
・蚊、蝿、蟻などの害虫に対する化合物の効果
・消毒用エタノール、ハーブ、樟脳など、薬(殺虫剤)としての効果
を調べてみましょう。