社会福祉学

新人保健福祉専門職が職場に定着するための仕組みづくり研究


佐藤ゆかり 先生

岡山県立大学 保健福祉学部 現代福祉学科/保健福祉学研究科 保健福祉学専攻

どんなことを研究していますか?

生活に困りごとのある介護が必要な人や、そのご家族と一緒に、その方が望む暮らしについて、どうすればそれが実現できるかを考え、介護の過程を通じてアプローチする福祉現場のエキスパートが、介護福祉士です。介護福祉士資格は、福祉の分野では数少ない国家資格です。地域での包括的な生活支援体制において中心的な役割を担うべく、介護福祉士の活躍が期待されています。私は、介護福祉士をはじめ保健福祉専門職のキャリアアップの支援のための研究を行っています。

個別の教育が職務満足度や仕事継続につながる

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高齢化が進む日本では、ますます介護福祉士が求められています。しかし、仕事をやめてしまう介護福祉士も少なくありません。そこで、介護福祉士における、職場内研修体制と職務満足感、そして継続意向の関係を検討したところ、新人介護福祉士は、研修の組織化や体系化もさることながら、少人数あるいは個別の体制で重点的に教育を行うことが、職務満足感や仕事継続につながることがわかってきました。

これは介護福祉士の職場定着を促進するシステムを作る上で有効だと考えます。介護福祉士の認知症ケア技能向上プログラムを作成するための基礎研究なども行っています。

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認知症について地域の方と勉強会、ゼミ生が寸劇を披露

学生はどんなところに就職?

一般的な傾向は?
  • ●主な業種→社会福祉専門職地方公務員、社会福祉専門職(介護福祉士、社会福祉士)
  • ●主な職種→地域包括支援センターの社会福祉士(介護福祉士の資格も取得し、生活支援のスペシャリストとして活躍)。通所介護事業所の介護福祉士として就職し、管理者になるなど
分野はどう活かされる?

2020年度入学生までは、介護福祉士と社会福祉士の両方の国家試験受験資格を取得できました。4年間かけて社会福祉学を土台に、介護福祉学を学ぶことで、対象者の生活をしっかり理解した上で援助展開をできる基礎力を身につけ、社会で活躍しています。

先生から、ひとこと

地域領域の臨床実践の中で、地域の方から教えていただいたこと、一緒に考えたこと、生活継続のお手伝いをさせていただいた経験をもとに、心穏やかに暮らしを続けることについて、一生懸命考え続けています。

先生の学部・学科はどんなとこ

現代福祉学科では、社会福祉学のみならず、保健福祉学、介護福祉学、マネジメント学、国際福祉についても学習できます。地域活動に参加し、地域の方と一緒に学ぶプログラムも多く準備されています。

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豪雨で被災された災害時要援護者に関する報告

先生の研究に挑戦しよう

【テーマ例】
・保健福祉専門職のやりがいってなんだろう?
・認知症とともに生きる人と家族の暮らしやすさとは?

興味がわいたら~先生おすすめ本

老いと社会 制度・臨床への老年学的アプローチ

冷水豊

老いゆく過程を社会の中で生きることを支える基礎となる学問の一つが、社会福祉学だ。この本を通じて、高齢期が自分らしく地域で生活を続けることを援助するために、必要な視点と基礎的知識が習得できる。 (有斐閣アルマ)


丹野智文 笑顔で生きる 認知症とともに

丹野智文、奥野修司

認知症とともに生きるご本人が、どのような想いを持ち日々暮らしておられるかを知ることは、パートナーとなる専門職の基本だ。39歳のときに若年性アルツハイマー型認知症と診断された丹野智文さんが執筆された書を、ぜひ読んでほしい。 (文藝春秋)


誤作動する脳

樋口直美

ご本人が体験した生活世界を、私たちにわかりやすく解説してくれる書。レビー小体型認知症と診断された著者が、コントラバスが人に見えるといった幻視などの体験を、パートナーとなる専門職はどう理解すべきか。「できる人には、できない人が、なぜできないのかわからない。」という言葉についてじっくり考えてほしい。 (医学書院)


痴呆を生きるということ

小澤勲

「認知症」という呼び名になる前の旧名称の書籍ではあるが、認知症を有する当事者が生きる世界を、介護老人保健施設など現場に最も近い立場の著者が解説した、認知症ケア必読の書。認知症当事者の精神世界に光を当て、関わる家族や介護者の大きな支えとなった本。 (岩波新書)


本コーナーは、中高生と、大学での学問・研究活動との間の橋渡しになれるよう、経済産業省の大学・産学連携、および内閣府/科学技術・イノベーション推進事務局の調査事業の成果を利用し、学校法人河合塾により、企画・制作・運営されています。

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