高校物理や化学に最もなじみ深いものが周期表です。周期表には、それぞれの「元素」が並べられています。元素とは物質を構成する最も基本的な要素です。もともと自然界にあった元素に加え、人工的に作られた新元素を含めると、現在までに118種類が知られています。
113番元素ニホニウムは、日本の理化学研究所が発見し、命名権を獲得したことで話題になりました。1869年にロシアの化学者メンデレーエフは、当時知られていた元素を重さ(原子量)の順に並べ、性質の似た元素が周期的に現れることを見つけました。これを「周期律」といいます。性質の似た元素を同じ列に並べたものを「元素周期表」と呼び、化学や物理学を学ぶ基本となっています。
人間にそれぞれ個性があるように、元素にもそれぞれの個性があります。元素の本質的特性に着目した物質創成を「元素化学」と呼んでいます。私は元素化学に取り組んでいます。周期表にある様々な元素を従来にない形で結合させて、優れた機能を持つ新しい物質を作り出そうとしています。
追求するテーマの一つは、元素の特性に着目した物質創成です。周期表にある様々な元素を結合させて、優れた機能を発揮する物質を開発しています。自然界に豊富に存在するケイ素やアルミニウム、鉄などのありふれた元素から新しい物質・材料を作り出そうというもので、電子工学や省エネルギー技術の革新にもつながると期待されています。
限りある元素は自然界を循環する
もう一つのテーマは、元素の特性に着目した「物質変換」です。二酸化炭素や一酸化炭素、窒素、水素などの無機小分子の活性化と有用物質への変換に挑戦しています。元素は無限にあるのではありません。自然界で元素は、生物界から無機物質界へと出て再び生物界へと循環しています。これを元素循環といいます。地球上に存在する元素の数(量)は有限であること、また元素は核分裂や核融合などの核反応しない限り不変であること。この「元素の有限性と不変性」は、人類の存続に貢献する知の一つと言えます。
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「17.化学・化学工学」の「69.無機化学(錯体等)」
一般的な傾向は?
●主な業種は→製造業、教育学習支援業など
●主な職種は→研究開発、生産管理、教職など
●業務の特徴は→化学に関する知識や技術を必要とするもの
分野はどう活かされる?
研究開発業務、教育業務など
地球温暖化、エネルギー問題など、現代社会が抱える問題の解決は、明るい次世代社会を築くために不可欠です。これらの問題にかかわる化学現象の解明や新物質の創出に、応用化学の立場から取り組んでみませんか。応用化学のフィールドは、物理化学・無機化学・有機化学・高分子化学はもとより、医学・薬学・農学・食品化学などの融合領域まで、その研究対象もミクロな世界から地球規模の問題まで、大きく広がっています。近畿大学理工学部応用化学科では、人間力の養成や実学に特化したプログラムを実践します。
我々は様々な物質に囲まれて毎日を暮らしています。それらのすべてが元素からできています。元素の個性を理解して、ものづくりに活かしましょう。化学による豊かな暮らしを支えるのは、皆さんのような若者の「探求心」です。若者の挑戦を待っています。
・ふわふわシリコーン(発泡性シリコーン)
・衝撃を吸収するアルファゲル
・弾むボール(スーパーボール)と弾まないボール
などを作ってみると、私の研究テーマに近づいたことになります。
よくわかる元素図鑑
左巻健男、田中陵二(PHP研究所)
この世界は元素でできている!本書は、周期表にある様々な元素の形状や性質、さらには人類社会への貢献や製品となったものについて紹介。写真は、WEBサイト「結晶美術館」(https://sites.google.com/site/fluordoublet/)管理人・田中陵二氏によるもので、実に美しい。
一家に1枚周期表
(文部科学省科学技術・学術政策局人材政策課)
「自然も暮らしもすべて元素記号で書かれている」がキャッチフレーズの周期表。身近な元素(アルミホイル、骨=カルシウム)や科学技術を担う元素(ケイ素の太陽電池、ガリウムの青色発光ダイオード)など、元素の用途や性質が一目でわかる楽しいポスターだ。文部科学省のサイトからダウンロードしよう。
[Webサイト]