髪の毛の太さの10分の1以下の小さなモノを作る3Dプリンタ
電気回路をプリンタで作る
私の研究は、髪の毛の太さの10分の1以下の小さなモノを作るための3Dプリンタを作る研究です。一般的な3Dプリンタで作製されるモノは手で持てるサイズですが、もし、金属のような導電性の材料を目に見えないサイズでプリントできる技術があれば、電気回路や小さな機械もプリントできるのではと考え研究しています。
フェムト秒レーザで金属をプリント
具体的には、フェムト秒レーザという特殊な光を使って、金属イオンを含む原料インクから金属を析出させて造形します。フェムト秒レーザはパルスレーザであり、パルス幅は1000兆分の1秒程度の非常に短い時間に圧縮されたエネルギーです。また、レーザパルスをレンズで直径0.001 mm程度に集光して空間的にも圧縮し、時間・空間的に非常に高密度なエネルギーを材料に照射することができます。
その結果、レーザ波長に対して透明な吸収のない原料インクに照射しても、焦点近傍だけでは吸収が生じます。吸収されたエネルギーは光から熱へ変換され、その熱により金属が還元析出されますので、レーザ焦点をペン先のように原料インク内で走査することで微細構造を描けます。現在は様々な金属を造形できる技術となるよう、原料インクの開発や金属の析出現象を観測しています。
私自身、レーザ加工に興味を持ったのは、大学入学後に講義を受けてからです。機械・材料系の学科に入学しましたが、大学で学ぶうちにレーザという特殊な光と材料の相互作用は分からないことが多く、原理現象を明らかにしながら役に立つ技術にしていくという研究の面白さを知りました。
大学入学時には、ロボットに興味があり学科を選びました。機械・材料系の学科でしたので、学部2年生までは両方の専門基礎の勉強をし、その中で考えてもみなかったレーザ加工の研究がとても面白そうだと思い、コース選択時には材料系の方に進みました。
◆主な業種
(1) 一般機械・機器、産業機械(工作機械・建設機械等)等
(2) 電気機械・機器(重電系は除く)
(3) 精密機械・機器(医療機器・光学機器を除く)
◆主な職種
(1) 設計・開発
(2) 生産技術(プラント系以外)
(3) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
レーザ加工機など工作機械メーカーや、精密機器、材料などの業界で、研究開発、生産技術などの業務をしています。レーザや材料等の専門知識も役に立つと思いますが、国内外の学会での研究発表や、研究を通して課題を解決した経験は、どんな分野でも生かされるのではないかと思います。
機械工学分野ではありますが、従来の「機械」にとらわれない、ナノ材料、光、エネルギー、バイオなど機械を使った先端的な研究に取り組んでいる先生が多くいます。学部3年生から高専生が多く編入してきて多様な背景を持った同級生とともに、3年生の9月から研究室に配属されて研究に取り組むことができます。4年生の後半は、実務訓練という長期インターンシップがあり、実践力を養えます。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 同じ機械・材料系か応用物理 |
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Q2.感動した/印象に残っている映画は? 『ショーシャンクの空に』『ゴジラ』 |
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Q3.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? お城巡り |
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Q4.好きな言葉は? 為せば成る |