謎だった物質のガラス化。無秩序に隠れた秩序が見えてきた!
微粒子の配置が乱れた固体=ガラス
中高校生の皆さんにとって、物質の3つの態様(固体・液体・気体)は理科、特に化学においてなじみ深い話題だと思います。高校までの化学では、通常、固体は原子分子などの微粒子が整然と配置された結晶を指すことが一般的です。しかし、固体は結晶だけでなく、微粒子の配置が乱れたものも存在し、これをガラスと呼びます。
水も金属もガラス化する
ガラスは窓ガラスやコップの材料である珪酸ガラスだけでなく、液体や気体と同じく、物質の状態を表すもので、水、金属、高分子、コロイドなど、さまざまな物質がガラス状態をとります。
特に、液体状態にあるこれらの物質を急激に冷却したり圧縮すると、結晶化を避けることができ、ガラス状態が得られます。この際、物質の粘度が10桁以上にも渡り急激に増大しますが、これまでの手法ではその間粒子の構造変化を見出すことができず、そのため、ガラス化がなぜ起こるのかは長い間謎とされてきました。
将来はがん細胞の検知技術への応用も
私は物質がガラスになる理由を解明するために、物理学や情報科学の最先端の手法を駆使して研究を進めてきました。その結果、物質がガラス化する際に、多くの場合、隠れた構造変化が生じていることを明らかにできつつあり、現在も研究を進めています。
このような乱れた構造から隠れた秩序を捉える研究は、将来的には超早期のがん検知において通常は区別が難しい正常細胞とがん細胞を明確に区別できるようになるなど、様々な分野への波及効果が期待されます。
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◆主な業種
(1) ソフトウエア、情報システム開発
(2) コンピュータ、情報通信機器
(3) 電気機械・機器(重電系は除く)
◆主な職種
(1) システムエンジニア
(2) 基礎・応用研究、先行開発
◆学んだことはどう生きる?
研究ではプログラミングを用いた数値計算を用います。最近では機械学習などのデータサイエンスの知見も大いに用いています。卒業後、扱う内容は変われども、大学院時代に培ったプログラミングスキルが大いに役に立っているようです。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? 医学 |
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Q2.日本以外の国で暮らすとしたらどこ? フランス。ポスドク時代2年間滞在しました。学問および文化的に大変すばらしい国でした。そしてなにより食事も美味しい。 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 硬式テニス |
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Q4.研究以外で、今一番楽しいこと、興味を持ってしていることは? 子育て |