低温でも化学反応が進む反応場で働く触媒の開発
触媒反応には高温が必要
身の回りのエネルギーや燃料、化学製品を作るために、様々な化学反応が行われています。化学反応を進めるためには、反応する分子同士が出会うことに加えて、結合を切ったり作ったりするためのエネルギーを与える必要があります。
そのため、従来の触媒反応では、しばしば“高温”条件を必要とし、分子や触媒を外部から加熱することで分子を活性化し、ランダムに動き回る活性化された分子同士が触媒表面で偶然出会うのを待つしかありません。
電子の力で、常温~100度台でも反応が進行
このような触媒反応を低温(少ないエネルギー)で進めるためには、熱以外の外部エネルギーを用い、分子の“活性化”と“出会い”を自在に制御できる新しい反応場が必要です。
そこで用いたのが「電場触媒反応場」です。電場触媒反応場とは、固体触媒に微弱な電流が流れるように電圧を印加しながら触媒反応を行うもので、従来500度以上の高温を必要とした化学反応が、常温~100度台という著しく低温化した条件でも進行するようになります。
新たな反応場には新たな触媒が必要
この反応場では、例えば水素分子はプロトン(水素イオン)と電子に分かれ、電位勾配に沿って触媒表面を移動し、その過程で他の分子と衝突することで反応が起こります。プロトンと電子は反応性の高い化学種であり、二酸化炭素のような安定な分子とも低温で容易に反応します。つまり、電場触媒反応場とは、電気の力で、分子の“活性化”と“出会い”を制御しているとも言えます。
現在は、この反応場で有効に働く触媒材料を創り出すことで、多様な化学反応を低温で進めることを目指して研究しています。
私が助教として着任した研究室で「電場触媒反応場」と出会いました。どうせならこれまで誰も試したことのない材料を使ってみようと考え、私が大学院生~博士研究員の頃に合成した“触媒としては使えなかった無機材料”を使ってみたところ、電場触媒反応場でのみ低温でも非常に高い活性で反応が進んだことに衝撃を受けました。
触媒と反応場のシナジー効果により、ゼロが百にも千にもなるという現象に魅力と無限の可能性を感じ、現在も多様な触媒反応系への応用展開を進めています。
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
(2) 電気・ガス・水道・熱供給業
(3) 鉱業・資源
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 設計・開発
(3) 品質管理・評価
私の所属する海底資源環境学コースでは、地学・化学・物理学を基礎とし、「海底資源」の探査や環境保全も含めた開発、およびその利活用に関する教育・研究を行っています。
私の専門の触媒化学を学べる学部・学科はたくさんありますが、触媒の原料になる鉱物資源の探査・掘削・精製などの資源開発についても一緒に学ぶことができるところは他にないのではないでしょうか。
Q1.18才に戻ってもう一度大学に入るならば、学ぶ学問は? また化学をやりたい。物理化学や量子化学をもっと学びたいです。 |
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Q2.学生時代に/最近、熱中したゲームは? 『実況パワフルプロ野球』&『ウイニングイレブン』 |
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Q3.大学時代の部活・サークルは? 大学祭や新入生歓迎活動の裏方。研究室でバドミントンのサークルを作ったりもしました。 |
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Q4.好きな言葉は? 「上善水の如し」「なんとかなる」 |