細胞を測定・分析する化学分子を合成
DNAやRNAは封筒に入って届く
AさんがBさんに、何か情報を伝えようとしています。二人の距離が近い場合には話しかけることで情報が伝わりますが、遠く離れた場合にはどのように情報を伝えれば良いのでしょうか?
その答えの一つは手紙です。様々な言葉や文章を書いた手紙を書き、封筒に包み届けることができます。
ここ15年程の間に、多くの細胞がこのような情報伝達を生体の中で行っていることがわかってきました。細胞が出す手紙にはDNAやRNAなどの遺伝情報物質が含まれていて、タンパク質が埋められた脂質膜の袋(=封筒)にくるまれています。
細胞外小胞の多彩な機能を知るために
これは細胞外小胞(EV)と呼ばれており、様々な病気に関係していることが明らかになってきています。また、EVの中には傷の修復を促す役割をもつものもあり、医療に応用しようという研究も進められています。
私たちはこのように多彩な機能をもつEVの応用を見据えて、EVを測定し分析するための化学分子を作ることを目指しています。
医療に役立つことを夢見て
中でも、EVの中でも高い応用性を秘めているとされている、エクソソームという直径100nm程度の小胞に結合して、蛍光を発する機能を持つ分子(プローブ)を設計し、EV解析技術の開発を行っています。
放出する細胞の種類や状態によって、エクソソームの性質や機能は大きく異なりますが、私たちは全てのエクソソームは共通してとても小さな脂質膜をもつことに着目して、この脂質膜を標的としたプローブの開発に挑戦しています。
自分たちが考えて設計した化学分子が近い新たな細胞の機能を発見したり、医療に役立つことを夢見て、日々わくわくしながら研究しています。
もともと自分の体の中で何が起こっているかに興味がありました。縁あって入学したのは理学部化学科で、その中でDNAを研究している研究室に入って、化学の立場から生物・バイオテクノロジーに役立つ技術を作るという分野にはまっていきました。
現在研究しているEVやエクソソームは生物分野で盛んに研究されていますが、生物以外のバックグラウンド(自分の場合は、化学)をもつ自分ならではの角度で研究を進められる点は大変楽しいです。
◆主な業種
(1) 化学/化粧品・繊維・衣料/化学工業製品・石油製品
◆主な職種
(1) 基礎・応用研究、先行開発
(2) 品質管理・評価